「渇水対策本部」、雨の降らない地域では耳馴染みのある言葉だろう。
他県の人とこの話をした時「何それ令和のNERV?」とその存在を信じてもらえなかった。
エヴァンゲリオンよろしく、そんなものがあったとてお天道様を操縦することは誰にも叶わないのだ。
毎年この時期になると憂鬱になる。
いつ雨が降るか、次はいつ水の恵みを受け取れるのか。
ダムの貯水率をニュースで聞き、節水を心掛けて日々を営む。
てるてる坊主を逆さまに吊れば雨が降ると聞いたことがある。
もし明日も晴れるなら、そろそろてるてる坊主にでもお願いするしかあるまいよ。
沈黙が苦手だった。
何か喋らないといけないあの空気に、思わず呑まれそうになるからだ。
一人が苦手だった。
奇異な目で見られるあの眼差しに、思わず心が折れそうになるからだ。
全て自分の心がそう思わせていたことに気付いたのは、何時の頃だったのだろう。
恐れていたあの頃の私に今は胸を張って言いたい。
沈黙を共有できる人と居なさい。
同じ時間を共にすることの意味を学ぶことができるから。
一人の時間を持ちなさい。
自分とじっくり向き合える貴重な機会だと知ることができるから。
だから私は沈黙を恐れない。
だから私は一人でいたい。
好きなものに囲まれている生活はやっぱり心が踊る。
幸せを肺いっぱいに吸い込んで、美しい音を聴いて、美味しいものをめいっぱい食べて。
そんな時はきっと綺麗な目をして生きているのだ。
オタ活はこれらを全て満たしてくれる。
新規グッズ、主題歌、コラボフードエトセトラ
何かにハマるって凄く楽しい!
A子の心臓は早鐘を打つ。
これを送ってしまったら、二度と後には引き返せないと分かっていた。
それでももう限界だった。
震える指で送信ボタンを押す。
いつもなら中々つかない既読が、この日に限ってすぐについた。
「了解」
短い返信。嗚呼、これからきっと嵐のような日々が始まる。
それは戦いにも似た激動の幕開け。
インターネットの海に、隠し続けてきた情報が瞬く間に放流されることになった。
それに出逢うと胸が高鳴る。恋にも似たトキメキを覚える。
正にこの世はお祭り騒ぎ。
単純な脳みそはすぐにアドレナリンを分泌する。
僕の推しへ いつもありがとう