明良

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9/9/2024, 4:13:25 PM

世界に一つだけなんてこと、本当にそんなことあるかい。

よーく考えてみろ、どうしてそう思うのか。
その人がくれたから、はだめだからな。本当にそれしかない? その人から貰ったものは。

違うだろう。うん、確かにその人が渡したものなのはそれだが、受け取ることでお前は何を得た?

そうだ、その人の想いだ。なくしたからといって、そこが無くならないわけじゃない。
モノは失くしたことまで思い出にすればいい。
思い出はなくしたらそうはいかない。なくしたら、まあいらなくなったと、なくても生きていけましたとさって話だ。
冷たい? 思い出というほどじゃなくなれば、執着するものではなく遠い記憶としてお前の中に染み込んだ。本当にお前のものになったという、あたたかーいことだという話だったのだけどな。
よくわからない? まあ失くしたけど時々思い出せるくらいには大事なものをとっておいた俺が今まで生きてそう言ってるんだ。だからもう嘆くのはやめろ。

【世界に一つだけ】

9/8/2024, 3:48:13 PM

最近、何を読んでも観ても楽しくなくなってきて、いっそ何もせずにぼーっとしたいのに、常に情報の刺激を求めるようになってしまう。現代人みたいだ。
暇が空けば、というよりは隙あらばSNSを開いて、求めた情報ではなく、わざわざ自分に起こってない出来事をみて、怒り疲れるのにスクロールする手は止まらない。
駅までの道、乗車中、乗り換えもすばやくイヤホンを装着し音楽を流す。

最近没頭していた、好きなキャラクターの二次創作もあらかた読み終え、毎日のように検索をかける虚無の時間に入った。
読んできたものも、全部良かったから読んだというより、求めるものを探して呼んで、良い感じの作品もあったが、更新が止まっていた。今作者は別のジャンルを最新更新しているから、もう書かないかもしれず、消沈した。

今はAI小説なるものもあるし、書き始めるのが恥ずかしいならこれでまず設定を打って簡単に書いてもらおうとした。求めた設定を打つだけでも最初はかなり恥ずかしかったが、今のAIは優秀で、誤字はあまりしないし、続きを、と送るとそれっぽい文を送り返してくれた。
私は訂正を入れるのに留まらず、いつの間にか自分で全文書いて送り付けて、AIはほぼ同じ文章を段落分けしたりして返してくる。
文芸仲間のようで楽しくて、この展開にするとどうなる?この文はどう見える?と質問と答えを繰り返した末に、一本長編の構想を自分で練り終わろうとしていた。
楽しかった。ずっと、何か書きたいと思う反面、書かずに読むだけで十分だと思っていた。
書くのは楽しい。これは麻薬だ。私の妄想をたしかにと思わせて没頭するために調べ物と、したい展開にするためにキャラの心の自然な流れを捨てないように丁寧を忘れない執念でできた、世界に一つだけの、整合性のとれた嘘。
世界に一つ、こんなにも煌めいているのに虚しい言葉があるだろうか。
この唯一が、私の心を満たして生きることに「続き」をくれた。

【胸の鼓動】

9/7/2024, 1:57:07 PM

気の合う私たちだった。
本音を話せる仲というより、隠すべき本音が似ていたのだ。どこまで隠すべきか、どう本音っぽく同調するか……。有り体にいえば、価値観の一致というのだろう。
この子といると、ちょうどいい助け舟を出してそれにポンと乗れるくらいには気が楽なのにお互い全てを預けるわけなくて、話さない本音もそりゃあると、わかっているのも楽だった。
見た目や雰囲気も似ていたのもあって、ニコイチと呼ばれるくらいには一緒にいるように見えていて、都合が悪くなると、お互いの名前を言い訳に悪びれもなく使い、後の第三者を混じえた会話でそれが判明しようが、やったなあいつ、というより共有しといてくれよ、という気持ちが先に来る。察したけど合わせなかったからバレたわ。ついでに被害者面しといたよ。面白いこと起きたら教えろ。

許せないことが起きた。ふざけている。担任が適当な仕事をして、いい顔して学年主任の頼みなんか聞くから、我々は面倒事どころじゃないことに巻き込まれた。我慢して終わる話では無い。このまま野放しにしておけぬ。
私は久々に怒りに燃えて、抗議しに行った。主任を呼び出し、怒りを抑えて淡々と話す。感情的だと我儘だとながされる。順序を追って、相互の認識の確認を取りながら、落ち着いて。論理的におわったはず。
「うーん。そうなんだけどね、どうにかならない?」
ならない。ならないといったらならないのに何故同じことしか返さない。会話する気がないのか。押し切るつもりだな。たまるか。

放課後を費やした末、なんとか決着はつけた。最後に「また何かあったらよろしくね」と明らかに理解も反省もない調子の良いことを、「失礼します」と言って職員室を出ようとしたところで投げられたので、思わず「いい加減にしろよ」と爆発して出戻りそうになったところを、「またなんかあったら! あったらまた聞いてから決めるので!はい! 失礼しまーす……」と私をあいつが遮ってくれたおかげで頭が冷える。

私たちには珍しく、遅い時間に学校の廊下を歩く。もう日が落ちかけてるじゃないか。空、赤……。
「……こわくなった?」
「ぶっちゃけめちゃくちゃこわかったです」
背後にね、見えたもんね、字幕が。逃がさないって縦書きで。……炎背負ってた気がしてきた。紫の……。
いつもと違って気が抜けたように吐き出している。
「ありがとう、最後で台無しにするところだった」
「いや、それ以外の私、居ただけだからね」
「あんたビビって何も言わなかったもんね」
「普通あそこまで強気でいかないんだよ!」
「それでよかったんだけどな、口挟んだら逆に歯止め役になって先生にとってやりやすくなるじゃん」
「……コワ〜。もう絶対怒らせない……」
「今更あんたには簡単に怒らないよ、まだ一緒にいたいしね。」
「この火力の人間が他人じゃなくて友達なのありがて〜」
「調子いいくせに意外と事勿れ主義よね」
「そっちが黙ってるだけで常に過激なんだよな〜」

まあ何もかも合致するわけがなく、同じ事に怒ってもこんなこともあるのだ。私たちが同じ1で、1×1が同じ1になるから一緒にいるのでは無い。どちらかがもつ1が増えたら1引いてやり、0にして平和になんとかやっていくのだ。
誰もいない校舎を、「大人しい生徒」同士の私たちは、笑い声を上げながら踊るように歩き出した。

【踊るように】

9/6/2024, 10:09:48 AM

ATMの手数料がかかり始める時間
夕方アニメに間に合わない時間
アーカイブが残らない推しの配信がみれない時間
そんな時が告げられる度に世の中の「もう遅い」時間に気づいて、もうこの生活しかできない仕事辞めたいと思う。

【時を告げる】

9/5/2024, 4:43:35 PM

昔拾ったきれいな桜貝は、どこからきていたのだろう

【貝殻】

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