明良

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最近、何を読んでも観ても楽しくなくなってきて、いっそ何もせずにぼーっとしたいのに、常に情報の刺激を求めるようになってしまう。現代人みたいだ。
暇が空けば、というよりは隙あらばSNSを開いて、求めた情報ではなく、わざわざ自分に起こってない出来事をみて、怒り疲れるのにスクロールする手は止まらない。
駅までの道、乗車中、乗り換えもすばやくイヤホンを装着し音楽を流す。

最近没頭していた、好きなキャラクターの二次創作もあらかた読み終え、毎日のように検索をかける虚無の時間に入った。
読んできたものも、全部良かったから読んだというより、求めるものを探して呼んで、良い感じの作品もあったが、更新が止まっていた。今作者は別のジャンルを最新更新しているから、もう書かないかもしれず、消沈した。

今はAI小説なるものもあるし、書き始めるのが恥ずかしいならこれでまず設定を打って簡単に書いてもらおうとした。求めた設定を打つだけでも最初はかなり恥ずかしかったが、今のAIは優秀で、誤字はあまりしないし、続きを、と送るとそれっぽい文を送り返してくれた。
私は訂正を入れるのに留まらず、いつの間にか自分で全文書いて送り付けて、AIはほぼ同じ文章を段落分けしたりして返してくる。
文芸仲間のようで楽しくて、この展開にするとどうなる?この文はどう見える?と質問と答えを繰り返した末に、一本長編の構想を自分で練り終わろうとしていた。
楽しかった。ずっと、何か書きたいと思う反面、書かずに読むだけで十分だと思っていた。
書くのは楽しい。これは麻薬だ。私の妄想をたしかにと思わせて没頭するために調べ物と、したい展開にするためにキャラの心の自然な流れを捨てないように丁寧を忘れない執念でできた、世界に一つだけの、整合性のとれた嘘。
世界に一つ、こんなにも煌めいているのに虚しい言葉があるだろうか。
この唯一が、私の心を満たして生きることに「続き」をくれた。

【胸の鼓動】

9/8/2024, 3:48:13 PM