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10/6/2024, 10:47:51 AM

ある時何十回目のデートだろうか。県内は喫茶店の数だけは日本一多い事もあってデートはいつも喫茶店である。総曲輪、西町、駅前、等を片っ端から入ってはお茶をし会話をする。西浦沙織の顔が美し過ぎていつもド緊張してしまう。それは彼女も同じであった。駅前で二人佇んで会話していたら、二人組の若い兄ちゃんに笑われた事もあった。…余りにも不釣り合いなカップルであったからであろう。…オタクと美女。こんなドラマもあるので、目の前で実際起こると笑ってしまうのであろう。ある時自宅のアパートへ行きたいと西浦沙織から申し出があった。…ついにこの日が来たか…。とうとうお持ち帰り…そして童貞を卒業する日が来ようとは26年間夢にも思わなかったのである……。

10/5/2024, 10:33:54 AM

西浦沙織とメールで約束をした速星駅までの距離は長い。(流石は超田舎の駅だ。)電車が1時間に1本しか来ない。真夏の炎天夏の中ファ〇ーレまでの道程も30分以上かかった。仕事でクタクタの中ようやく映画館に辿り着いた。(…人が多い。)超ド緊張のまま映画がスタートした。

横をチラッと見る…。

(真剣に観ているようだ…。)

さっき買った大きめのドリンク。沙織は飲んでいいよと言ってくれた。遠慮せずに飲みまくる。

…真剣に見てみる。話の内容がサッパリ入って来ない。最近の映画やドラマは難しいのが多くて…。

あぁ~タバコが吸いたい…。タバコに行くとストーリーが分からなくなるのでひたすら我慢…。

ようやく終了…。

帰りの道すがら…。

岸谷「…どうだった?」

西浦「…う〜ん、ちょっとイマイチ。」

…と今時のカップルがいかにも言いそうな台詞を吐きながら速星駅までの長い道程をまた戻るのであった。

学生が賑わう夜の駅の中、当時西浦沙織が好きだった中島美嘉の「雪の華」を携帯電話で聴かせてくれた。

…いい曲だと思った。

そして電車に乗る…。かなり疲れたらしく肩にもたれる。

その時横から入って来た爺さんが照れくさそうに戻って行った。

そして電車を降りる。

「…じゃまた。」

「…うん。」

こんな感じで私の青春はバラ色の様に見えた…。

10/4/2024, 10:43:00 AM

数日後、西浦沙織から

「…岸谷さん良かったらでいいんで友達になって下さい。」

…と本人直々にメール交換を申し込まれた。

勿論私は即答でOKした。それから朝から晩まで暇さえあれば彼女とメールをしていた。朝出社して一緒に仕事をして午後から仕事が終えれば一緒に帰ってデートをするというまるで夢のような時間を彼女と過ごした。

ある時「映画館デートがしたい。」と彼女からお誘いがあった。ロックと言う子犬の映画であった。西浦沙織が子犬好きと言うので観てみたいとの事であった。

私は「ロック?」昔のアクション映画かと思ったら日本の邦画作品である事に映画館に入るまで気がつかなかったのであった。

9/23/2024, 11:45:54 AM

しばらくして西浦沙織と高原さんが入って来た。
西浦沙織は26才の同い年でモデル並の高身長美人だ。高原さんはアイドルみたいに可愛くて皆高原さんに夢中である。皆新しく入って来た2人を歓迎した。

ある時喫煙室で

西浦「岸谷さんっておいくつですか〜」

と聞かれたので

岸谷「もう26なんですよ〜。」

と答えると

「…そっか、じゃあ私と一緒ですね。」

「マジで!!」

となった。

内心これはいけるかも…と思いなんて言ったか忘れたが次の日渾身の一言を彼女にぶつけた。

「ハイッ!!…えっ!何でですか!?」

心臓が口から飛び出そうになった。私からの初プロポーズの言葉に西浦沙織は歓喜回ったようであった。

9/21/2024, 10:52:56 AM

ひだまりの連中はみな楽しい奴ばかりであった。

私の前に入って来たのが生地さんだ。40代の眼鏡をかけたおじさんである。
 
生地「岸谷君メールしようよ。」 
 
そう言ってくれたのも生地さんであった。

正直私は人とメールをした事が余り無かった。だからこれでも心底嬉しかった。

生地さんと仲が良いのが春樹である。

春樹はかなりガッシリした体格で人の悪口ばかり言っている。

春樹「今度入って来た宮林ってババァ、気色悪いのぉ。」

正直最低だと思った。まがいなりにも職場の同僚である宮林さんになんて口の効き方であろうと思った。女の人に対して失礼では無いか。正直関わりたく無いと思った。お前こそブタとかゴリラみたいな顔をしているでは無いか。しかもいつもジャージと長靴。お前こそ気色悪いわ。…と心の中で言ってやった。

生地さんいわく

「…春樹、昔いじめられとったんやと。」

こんなでっかい図体で?いじめる側じゃないんか?

知的障害者はいじめられっ子が多いと聞く。森君もその知的障害者の一人である。

ある日喫煙所でタバコを吸っていると

森「…岸谷さんって普通に見えますねぇ〜。」

「…そうかな〜。こんなオタクっぽい格好をしているのに?」

私は知的障害と発達障害と精神障害の3つを掛け持つ合併症である。

顔が普通っぽく見えるのであろうか?

春樹も森君も二重まぶたである。しかし知的障害者独特の顔をしている。…ちょっと猿顔と言うか。これがいじめの対象になるのであろうか?



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