「へぇー、岸谷君はパソコンの資格持ってるんだー。」
そう言ってくれたのはA型作業所ひだまりの宮崎さんだ。
岸谷「えぇ、今年の夏に職業訓練校で取得しました。パソコンの事ならお任せください!。」
当時26才の私は超真面目であった。私の未来は明るかった。仕事をして当然だと思っていた。結婚する為に本気で会社員になろうと思っていた。
宮崎「じゃあ、たまにパソコン打ってもらおうかしらね。趣味は何かある?」
「えっ?趣味ですか?…困ったな。いきなり言われてもな…。」
突然の質問に私はたじろいでしまった。
「じゃあ、何か好きな映画とかある?」
「映画ですか?」(あぁ~困ったな。最近の映画全然チェックしてないや…。)
「…しいて言うならロードオブザリングとかですかね。」
「ハリーポッターは?」
「イヤ~まだ見てなくて。」
「んも~う。ハリーポッター面白いのに。」
「…あは、今度チェックしときます!」
そう言った流れで私は無事この作業所の面接に合格するのであった。
本格恋愛小説 「君と僕。」第一回。
俺は眠い目をこすりながら朝食を食べに寮の食堂へと向かった。
武田「おう、岸谷。朝飯食べれや。どうや?就職活動は?」
そう言って薄い味噌汁をよそってくれたのは世話人の武田さんだ。
岸谷「おう!頑張っとるよ!毎日ハローワーク通って就職活動しとるわ!結構毎日が楽しいで!」
武田「おい!岸谷!味噌汁に塩入れるなや!!」
俺はあまりにも薄い武田さんの味噌汁がイヤで塩を振って飲んだ。
武田さんの朝飯は不味い。我慢して食って俺はさっさと自転車に乗った。
岸谷「よーし!今日も頑張って就職活動するぞー!!」
俺はハローワークへ向かった。
「えーこの会社はですね。」
俺はハローワークの担当の空さんに就職活動先の会社を紹介してもらった。
空「…えぇ、えぇ分かりました。岸谷さん。一応面接に来て下さいって。」
「よーし、頑張るぞー!!」