『愛があれば何でもできる?』
そう聞いた君の顔に砂をかけてやろうかと思った。今更ながら、君はズルい女だ。誰の子かもわからないお腹の子どもを僕と育てようなんていい出すから、つい手のひらを握りしめてしまった。砂の感触に我に帰ると、君は大きくなったお腹をさすりながら幸せそうに微笑んでいた。夕日に照らされて君の幼い顔が輝きをます。まるでマリア様みたい、僕は子どものように思った。浜辺はまだあたたかい。二回りも離れた君と、一緒になれる方法があればと夢見ていたが、それが叶いそうなのに、怒りと悲しみと通り越して呆れてしまった。思わず、笑いが込み上げてくる。
『愛があればね、、』
僕は、君の手を取って、まだ小さな命に声をかけた。
『・・・』
こうして、風に身を任せていると、昨晩のことが嘘のように思われる。
俺は、どうしたものか、夢を見ていたようだ。シャツの袖を捲って、滲み出た汗を左手の甲で拭く。嫌な汗だ。
降りかかる花びらが心地いい。藤の花の匂いに包まれて、また、昨晩のことを考える。
考えても考えても答えは出てこないのに、無駄に思考が繰り返される。ここは、何処だろう。俺は、一体、何処に迷い込んでしまったのだろう。
ふと、見上げると満開の藤の花。こんな景色は見たことがなかった。
ーーーそして、目が覚める。
やっぱり、夢だった。俺の見た夢。
昨晩、俺は酔っ払って、繁華街の真ん中で眠りこけていたんだ。藤の香りの正体は、隣で眠りこける飛び切り濃くした化粧の崩れたのお姉様。
俺はもう一度、眠りについた。
誰よりも、ずっと、真剣だった。
頬を伝う涙が止まらない。もう、どうしたら良いのか分からなくなっていた。分からないまま、働かない頭を働かないなりに働かせて考えた結果がこれだった。
『魔術師のカードの意味は、さぁ、準備は整った。これからは貴方のちからで切り開いていく番です。』
やっぱり、私はここに戻ってきてしまう。私の性分。仕方ないのだ。私には、これしか取り柄がない。
私は、どうしても占い師になる他ないのだ。子どもの頃から憧れを抱いていた職業、占い師。彼らは、夢を与えてくれる。言葉を介して、希望を与えてくれる。私も、そんな彼らみたいな占い師になりたい。