こうして、風に身を任せていると、昨晩のことが嘘のように思われる。
俺は、どうしたものか、夢を見ていたようだ。シャツの袖を捲って、滲み出た汗を左手の甲で拭く。嫌な汗だ。
降りかかる花びらが心地いい。藤の花の匂いに包まれて、また、昨晩のことを考える。
考えても考えても答えは出てこないのに、無駄に思考が繰り返される。ここは、何処だろう。俺は、一体、何処に迷い込んでしまったのだろう。
ふと、見上げると満開の藤の花。こんな景色は見たことがなかった。
ーーーそして、目が覚める。
やっぱり、夢だった。俺の見た夢。
昨晩、俺は酔っ払って、繁華街の真ん中で眠りこけていたんだ。藤の香りの正体は、隣で眠りこける飛び切り濃くした化粧の崩れたのお姉様。
俺はもう一度、眠りについた。
5/15/2026, 8:54:55 AM