志之幻牙

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『愛があれば何でもできる?』

 そう聞いた君の顔に砂をかけてやろうかと思った。今更ながら、君はズルい女だ。誰の子かもわからないお腹の子どもを僕と育てようなんていい出すから、つい手のひらを握りしめてしまった。砂の感触に我に帰ると、君は大きくなったお腹をさすりながら幸せそうに微笑んでいた。夕日に照らされて君の幼い顔が輝きをます。まるでマリア様みたい、僕は子どものように思った。浜辺はまだあたたかい。二回りも離れた君と、一緒になれる方法があればと夢見ていたが、それが叶いそうなのに、怒りと悲しみと通り越して呆れてしまった。思わず、笑いが込み上げてくる。

『愛があればね、、』

 僕は、君の手を取って、まだ小さな命に声をかけた。

『・・・』

5/16/2026, 10:51:43 AM