泥(カクヨム@mizumannju)

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3/24/2025, 7:52:01 PM

『もう二度と』

朝──まだ寝ている体が、こんな言葉を耳に入れたらしい。

「聞いて!おれ彼女できた!!」

その声の持ち主は誰かと辺りを見渡せば、そこには彼がいた。彼──言葉を変えるなら、「好きだった人」であろう。恐らく、まだ寝ぼけているから、そんな言葉が聞こえたように思っているのだろう。勘違いだ。そのはずだ。でも、続く声は「おめでとう」だった。今ので目が覚めた気がする。多分これ、夢じゃない。
ああ、そっか。今、私、失恋したんだ。なるほど、そうなのか──うん、夢だ、多分。
昨日までの彼に、そんな様子はなかった。おかしいと思うのだ、きっと一目惚れでもされて、その勢いで告白されて、ちょっと舞い上がっちゃって大して知らない人の告白にOKしちゃったんだ。彼なら有り得る。やりそうだ。
彼は私と目が合うなり、同じように彼女ができたと報告した。うん、聞こえてたけど。夢、じゃなかった。

「おめでと、末永く幸せにね」

はあ、こんなつらい朝も久しい。相手の名前くらい聞いてやりたかったけど怖かった。勝てない相手の名前なんて知っても意味ない。自分が惨めになるだけだ。
こんなんなら、もう二度とあなたを好きになったりはしない。

3/21/2025, 2:13:39 PM

『君と見た景色』

それは、教室の窓で切り取られた空。
夕日が傾いて、僅かに暗い教室。

それは、昇降口で見た夜空。
星は瞬き、暗闇でも明るい君。

それは、帰り道を包んだ寒空。
私の涙さえ包み込んだ君の温もり。

──それは、駅前の自販機。
暗闇の向こうで、「またね」という君の声。

2/23/2025, 2:51:33 PM

『魔法』

もし、魔法があったら。
きっと願いを全て叶えてもらうだろう。
やりたいこと、全部やるだろう。

何か、欠けている気がする。
そうだ、「できない」という悔しさ。
「やってやる」という意気込み。
生きがい。
それは、私だけの生きている証。

もし、魔法があったら。
魔法がない世界に変えてしまうだろう。

2/7/2025, 11:32:30 AM

『誰も知らない秘密』

ずうっとあなたを見てるってこと。
恋か、狂気か、わからないけどね。

1/24/2025, 12:21:58 PM

『やさしい嘘』

「ねえ、私のこと好き?」
「………ううん、もう、好きじゃない」
「そっか、………ねえ──」
「ばいばい」

あなたを傷つけないための嘘。
でも本当は、いちばん傷つける嘘。
やさしい嘘なんて、ない。誰も、得をしない。
だから、自分だけが損をしようとする。
それがいちばん、やさしくない。

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