Open App
2/24/2023, 3:59:02 PM

小さな命

命に大きさなんてあるのかな。

コツ、コツ、と階段を昇っている途中、
ふと、そう思った。

産まれたばかりの赤ちゃんを取り上げたテレビで
小さな命、と表現するのはよく見かけるけれど…。

その大きさは誰が決めたの?
その基準は何なの?

考えてみても、私には分からなかった。

多分、正解は無いのだろうな。

命は皆平等で、大きくても小さくても変わらない。
全部きっと大切で、かけがえのないものなのだろう。

でも、私の命はきっと、
全ての命の中の小さな1つだから。
あっても無くても変わらないだろう。

そう思ったら何故か楽になったので、歩みを止めてみる。

「もう、いいかな」

そう呟いて、私はぴょんと飛び降りた。



2/18/2023, 1:33:31 PM

今日にさよなら

もうすぐ今日が終わる。
夜中の部屋で1人、
毎日移り変わる空を眺める時間が私はお気に入りだ。

嬉しいことがあった日も、
悲しいことがあった日も、
どんな日も空はいつも綺麗で、
私の心を癒してくれる。

静かな部屋で響く秒針の音。
私の目の前には満点の星空が広がっている。

──ばいばい、今日の私。

かけがえのない今日に別れを告げて眠りについた。

1/13/2023, 10:37:21 AM

夢を見てたい

なんでも出来る貴方がかっこよくて。
低身長をからかうと怒る貴方が可愛くて。
大好きな楽器を演奏している貴方が眩しくて。
私より一回りも年上なのに、
子供みたいに無邪気に笑う貴方が愛おしくて。

「先生」
と私が呼ぶと振り返る貴方が大好きで堪らなかった。

貴方を好きになってから毎日が夢のようだった。
大嫌いだった学校も、貴方に逢うために早起きをして行った。
1番苦手だった英語も、貴方に褒められたいから頑張った。
私の行動理由は全部貴方だった。
貴方と話している時だけは、素直な自分でいられた。
貴方の事を考えている時が1番幸せだった。

もちろん、他人からは幾度となく否定された。
世間の目も怖かった。

年頃だから。

ただの憧れだ。

勘違いだ。

気の迷いだ。

現実を見ろ。

夢物語だ。

そんなことを言われてもなお、私の気持ちは変わらなかった。
この恋は叶うことはないのに。叶ってはいけないのに。
それでもいい、と思ってしまった。
ただの生徒でいい。
今の関係のままで、貴方といられるなら。
私はそれだけで十分幸せだから。

だから、どうか、
もう少しだけこのままで。

この幸せな夢を見てたい。

1/3/2023, 2:23:55 PM

日の出

いつかの元日。
「綺麗だね」
貴方は初日の出を見ながら、ぽつりと呟いた。
私は日の出なんて見向きもせずに貴方を見つめていたから、『うん』とだけ返事をした。
待ち望んでいた初日の出を見た貴方はとても満足そうで、とびきりの笑顔を私に向ける。
そんな貴方は日の出よりも遥かに眩しくて、綺麗で、儚かった。

年が明けて少し経った時、貴方が突然「見に行こう」と言った初日の出。
日が昇る時刻より遥かに早く外に出て、まだ暗い寒空の下、街頭も無い田舎道を歩いた。
途中、貴方は遠くのコンビニの明かり見つけて
「あのコンビニまで競走しよう」
なんて言い出した。
私は貴方に勝てるはずもなく、着いたコンビニで貴方の好きなお菓子やら温かいココアやらを奢らされた。
競走なんてしなくても買ってあげるのに、勝ったことを全力で嬉しがる貴方が愛おしくて、そして少し羨ましかった。
二人でココアで暖をとりながら向かった先は、幼い頃よく遊んだ山の上。山の頂上には古びたベンチがあり、少し土を払って腰掛ける。
どちらからともなく、肩を寄せ、手を繋ぐ。
「昔もここで見たことあったね」
『その時も突然言い出したよね』
「そうだっけ?」
『そうだよ。あの後こっぴどく叱られたんだから』
「あははっ。あの時はごめんね」
『いいよ、昔のことだし。でも突然言い出すのは辞めてよね』
「ごめんごめん」
そう平謝りする貴方を怒ることが出来ないのは、あの時も今も変わらなかった。
変わったことと言えば、私達を形容する言葉と手の繋ぎ方ぐらいだ。

「あ、見えてきたよ」
気付けば私達の目の前には、大きな初日の出が姿を現し始めていた。
「綺麗だね」
貴方はあの日のようにそう呟く。あの時と変わらない笑顔を見せて。
私も『うん』と返事をした。ただ、愛おしい貴方を見つめたまま。

-------❁ ❁ ❁-------

初めまして。勝手に初日の出にしてしまいました。
設定を細かく決めた訳では無いので、二人の性格や関係を想像しながら楽しんで頂けたら幸いです。
ここまで読んで下さりありがとうございました。

1/1/2023, 2:19:08 PM

新年
また、年が明けた。結局1年生きてしまった。
新年早々私は憂鬱な気持ちに支配される。
毎年死にたいと思い続け、自殺計画を練るものの、結局死なずに生き続けている。
死ぬ勇気が、私にはなかった。早く死ねばこんなことになっていなかったのに。
そうまでして生きている意味が分からない。けれど、多分死ぬ理由もあまりない。
他人は生きることを前提としているけれど、私にはそれがとても難しくて。
だから逆を考えていたが、それもなかなか上手くは行かないものだ。
きっとこの先も、こうして生きていくのだろうな。
そんなくだらないことを思いながら、私はまた机に向かった。

Next