──遅いおはようを君に。
どうにも朝起きるのが苦手だ。
いつまでも毛布に包まれていたいし、遅刻ギリギリまで体を休めていたい。なんならベッドの中で朝食を食べたい。前にそれをやったら真顔で怒られたからもうしないけど。自分の方が背が高いのに見下ろされてるような威圧感だった。
そんな怒ると怖い同居人はずいぶん早起きで、自分が毛布にくるまってうとうとしている間に身支度を済ませてしまう。あのきれいな銀髪を結ぶところを見られないのが悔しい。
(カーテン)
後日加筆します。一週間程度長文の投稿はできそうにないです、すみません。しばらく物語の冒頭だけの投稿になります。
──ただそばにいてほしい。
わけもなく涙が流れ始めることがある。
医局に行っても、目に問題はないので恐らく精神的なものだろうと言われるだけ。思い当たることがないかと言われれば、子供の頃に十分に泣けなかったことが影響しているのかもしれない。
特別辛くなるわけでも無いし、魔法学園時代に比べればずいぶんと頻度は減った。でも、突然泣き始めれば周りを驚かせてしまうから、瞳の奥がじわりとする感覚があればすぐに人目のないところに行くようにしている。
ただ、ここで問題がひとつ。慣れている自分と反対に、心配性な恋人は泣くのを見るとすぐにやってきて隣に座るのだ。大丈夫だと言っても聞かない。
(涙の理由)
後日加筆します。
──あなたとなら何処へだって!
初等部に通っている頃、同級生たちが旅行へ行った話をしているのが羨ましかった。魔導機関車に乗って何処へ行った、ハイキングで竜を見た、精霊が眠る土地の美しい景色を見た、そのどれもが家族の温もりを纏っていて、自分には程遠いものだったけれど。それでもやっぱり、旅行の思い出話はきらきらとした輝きを持って耳に届いて、憧れてしまうのだ。
友人たちとだって、弟と二人だけだって構わない。一度でいいから旅というものを経験してみたいとずっと思っている。いや、思っていた。
だって、そんな無謀な願いがこんな形で叶うなんて、思ってもみなかったんだから。
(ココロオドル)
後日加筆します。
──この時間を楽しみに。
どうにか区切りをつけて、ペンを動かしていた手を止める。長い間書き続けていた指は思うように動かない。強張りをほぐすようにぷらぷらと利き手を振る。
「っんー」
ぐっと伸びをすると、全身の筋肉が緩む気がした。乾燥を訴える目を片手で覆って、細く息を吐く。
後日加筆します。
(束の間の休息)
──この手だけは絶対に離さない。
(力を込めて)