うみ

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 ──あなたとなら何処へだって!


 初等部に通っている頃、同級生たちが旅行へ行った話をしているのが羨ましかった。魔導機関車に乗って何処へ行った、ハイキングで竜を見た、精霊が眠る土地の美しい景色を見た、そのどれもが家族の温もりを纏っていて、自分には程遠いものだったけれど。それでもやっぱり、旅行の思い出話はきらきらとした輝きを持って耳に届いて、憧れてしまうのだ。

 友人たちとだって、弟と二人だけだって構わない。一度でいいから旅というものを経験してみたいとずっと思っている。いや、思っていた。
 
 だって、そんな無謀な願いがこんな形で叶うなんて、思ってもみなかったんだから。


(ココロオドル)

 後日加筆します。

10/9/2024, 11:18:44 AM