半袖
少し先の夏が
君の手を振る半袖に
チラッとだけ見えてしまった
きっとそれは
君にとって なんでもない夏なのかもしれない
けどそれは
僕にとって 見てはいけない甘すぎる夏で
君の夏休みは毎年来るけど
ぼくの夏休みは ずっとここから進めない
恋物語
誰かの音になるのが嫌だった
どんなに有名でも、どんなに無名でも
その音が救世主様に見つかって
美しい音色と称賛されて
美しい救世主様の音になるのが嫌だった
その昔、僕は恋をした
僕にとって人生そのもので
世界なんか些細なことだと
本気で信じた日があった
あれから、世界は僕を見なくなって
彼女は救世主様に見つかった
叶う気持ちを愛とするなら
叶わない気持ちは恋として欲しい
今でもずっと届かない
あの夏の夢と、その旋律に
今日の心模様
ギザギザギザギザ
ギザギザギザギザ
ギザギザギザギザ
ギザギザギザギザ
うん、いつも通り!
無色の世界
おとぎ話にすらならない
きっと誰かのお話
線を言葉に直すことしか
私たちにはできなかったのに
その世界は色を求めた
こんなにも美しく居心地の良かった世界は
あっという間に
ぐっちゃり
ぐにゃりにゃり
ぐろ
くろ
私たちのよく見る似たような世界に
私たちは文字を落とすことが出来た
でもそこは紙の白とインクの黒で
決して純粋無垢ではなく
そもそも私たちの世界に黒も白もなかった
あるのはただ 線
線だけでよかったのに
神様へ
もし過去に戻れるとしたら
私はどこへ戻りましょうか
一択しか思いつかないのは
きっと私の神様のせい
どうして死なせてくれなかったんですか
私が願っていなかったから、ですよね
私が自分で死ぬので、そこで見ていてくださいって
そう言ったからですよね
生きていい理由と
死んでいい理由は
まだ私に制御できているのでしょうか
まだ私は、虹を追いかけていられるのでしょうか
それとも、その思考自体が
私の神様自体が、犯されているのでしょうか
どうして助けてくれないの。