誰よりも
僕は君の名前を知っている
君の好きな食べ物を知っている
君の嫌いな食べ物を知っている
君の得意な教科を知っている
君の苦手な教科を知っている
君の密かな楽しみを共有させてもらっている
君の密かな苦しみを共有させてもらっている
君の好きなタイプを知っている
君の嫌いなタイプを知っている
君の誕生日を知っている
君の亡くなった日を知っている
君の僕に見せた感情を知っている
君の僕に見せたくない感情を知っている
君の名前を口に出す心地良さを知っている
君の名前を口に出すとはにかむことを知っている
僕は誰よりもずっと
君の名前を
10年後の私から届いた手紙
保留。ただ、書き続けろ。
バレンタイン
毒を入れた容器に毒を入れたチョコを入れたよ
甘い甘い毒なの
食べないの?
使い慣れてない台所で使い慣れてない包丁を使って
頑張ったんだよ?
食べないの?
こんなにも好きでいてこんなにも愛しているんだよ
甘い甘い愛なの
受け取らないの?
マシュマロ?クッキー?キャンディ?チョコ?
全部全部嫌いなの
二度と贈り物なんかしないで
好きでいさせ続けないで
伝えたい
言葉が溢れた
濁流なんてちゃんと見たこと無いのに
夏の急激な流れを見ても
それを濁流だと認識したことは無いのに
言葉が 口ではなく頭の中で溢れた
マニュアル本を常備してるの
それでいつでも消えちゃえるように
今度紐を買おうと思うの
それでいつでも消えちゃえるように
理解出来ても、共感できなかった
理解出来たからこそ、大嫌いになった
知らない彼女は笑ってた
世界一悲しい作り笑いで
その本は
その紐は
その思想は
その顔をするためにある訳じゃない
我儘でも そう伝えたかった
詩を語るほどあなたには
詩と向き合おうとしましたか
詩を横に夢へ落ちるのが
あなたには理解できますか
詩を書き綴るその行為が
どれだけの価値か分かりますか
いつか詩を綴るために
何をすればいいかお分かりですか
詩人舐めんな、ばーか。
この場所で
やけに埃臭い灰色のベッド
カーテンの隙間から差す光が
空っぽを充満する部屋に
輝きを求めていた
天井は妙に近く感じられ
手を伸ばせば届きそうで
空の彼方まで
きっと冒険できた
使い古したヒーターは
ずっと首を振り続けていて
モノクロしか移さない液晶は
ノイズすら叫ばせて貰えなくて
すぐに手の届く過去のスマホは
アラームのみを知らせた
ここに僕は いつも1人