優しさだけで、きっと
ヴィルはなんでも出来るから。思い出の残り香を背に何処までも走っていく、本当にあの子は妙な所でだけ思い切りがいいんだから。
そうね、残酷なぐらいに優しさが効く子だったもの。
薬も過ぎれば毒よ、優しさはあの子に効き過ぎる。
優しさも愛も乾いた所には一滴も降らないのに、今にも溺死しそうな人の所には嫌というほど降り注ぐもの。
やれやれ、手のかかる子ほど可愛いとは言うけど、手塩をかける程、斜め後ろに突っ走るとは本当にヴィルは仕方がないな。
青空を写した泉のような澄んだ青と赤黒く濁った赫、そして燻んだ灰色はそういって走り出した。
夢が醒める前に
さぁ、楽しみましょう、夢から覚める為に。そして備えましょう、この眼が輝いている内は夢が醒めてしまわぬように。
夢から覚めた先には目も眩む数の夢が待っているのだから。
...だからどうか醒めないで、まだ醒めないでいて、命尽きるその日までどうか....
いつの日かその夢(想い)さえも醒めてしまうとしても、かの嬢はただひたすら希った。
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さぁさぁ今宵も猫が舞い蝶が踊る、我が舞台へ御来場くださり誠にありがとうございます!今日はいよいよかの有名な御伽話、夢誘う怪物のクライマックスたる討伐劇です!それでは今宵も幕開けと致しましょう。
安らかな瞳
貴方たちの見てるとチカチカする黄色い目とかキラキラ光る蒼い瞳や赤い瞳と違って私の目は真っ黒な目に優しい色なんです〜。
色彩に光の無い真っ黒な瞳でかつて彼女はそう言った。
それは安らぎには程遠い本能的な恐怖が呼び起こされるような目だった。
それが今や見る影もない。
平穏な日常
"今日も穏やかで平和で平凡なつまらない日ね"あなたはそう言った、けれどそれは貴方が今日、そして今この瞬間起きている面白いことを感知することや探すことが出来てないだけなのではないでしょうか?
昨日が今日が一昨日が平穏で満ち足りているのにつまらないのは単に貴方がそれ以外を認知する為の行動あるいは面白いことを起こす為の行動をしていないだけなのではないか?私は常々そう思わずにはいられません。
平穏な日々が明日も続くとは限らない、なんて言葉をよく聞きますが果たしてそれを言った時が本当に平穏だとどうして断定できましょう?
現にあなたは私という道化師を招き入れて既に季節が一周したというのに仮面をかけている事にすら気づけていないのだから。
"平穏な今日から平穏な明日はあっても平穏な明後日は滅多にない、何故ならばほとんどの場合は昨日の内に既に異変が起き始めています。
三流は明後日の平穏を崩し、二流は明日の平穏を崩す、ならば一流はどうでしょう?....それはあなた自身しか知り得ないのですよ”
最近はよく先生の言葉を思い出しますね。
さぁ、私だけの一流を見に行きましょう。
過ぎ去った日々
過ぎ去った事やモノ、それは思い出になろうが、経験になろうが、現在まで地続きしていようが、色褪せようが、忘却していようが、そして他者や本人が無かったことにしようがあるいは逆だろうが、それが過ぎ去ったモノだと言う事だけは忘れるな。
こういう時トラウマや到底忘れられない、知りもしないくせに簡単に言わないでなどの意見や不満、怒りを抱くのはもっともだがどれだけそれが現在に影響を与え、苦しみを与え、想いや親愛を与え続けているとしてもその事自体はもう過ぎ去ったのだ。
友よ、それだけは覚えていてくれ……
だから、手に持ってるその世紀末予言とかいう手書きのタイトルの本を今ずく捨てろ!!!いや、燃やせ!
おのれ、おのれ!おのれぃぃぃ!!
よくもよくもこんな事を!
いくら口喧嘩で負けたからってそれを俺の娘に朗読するのは違うだろうォォォ!!!!!!!