欲望
なぜに喚く、なにゆえ畏れる、心の底に映るものは汝自身だというのに。
欲望の声も知らずにどう対処するというのだ?幼子よ、身に覚えがないと喚く声、気づきかけておるその本性、決して変わる事のない、変えられない己の本質を直視せよ。
それこそが欲望を知る術なり。
汝ならばそれで事足りよう、なぁ幼子よ。
遠くの街へ
現実逃避
真夜中の手紙
拝啓私へ、最近まで1時間ぐらいそこらを歩いて徘徊する現実逃避をしてたと思ったら、急に6年ぐらい前から人格を記憶ごと廃棄して既に記憶のない自分とかいう究極の逃避をしていたことに気づかされたボクの気持ちを考えた事はありますか?
今君はいかがお過ごしでしょうか、よくも現実逃避などとくだらない事をやってくれましたね、お陰でこれからはボクと君のルームシェアです。
P.S君は相変わらず幼稚なようでボクはガッカリしました。高校2年生にもなって精神が子供のように未熟だなんて本当に残念です。
早朝の手紙
どの口でいってるんです?それはお前だろうが!!
忘却魔め!
どう考えても幼少期の記憶を人格ごと捨てたお前のせいだろうが!
中学生時代のあの勉強だけが生き甲斐の無機質な私はどうして形作られたと!?それで人格が育つとでも?それからたった2年半でここまで成熟したのはひとえに私だったからこそ。
この事実をよく噛み締めてからモノを言うんですね、小さなボクちゃん。
P.Sああ、そう言えばあなたは私の倍ぐらいの時間があって今の未熟な精神でしたね。失礼、私とした事が年上に向かって飛んだ無礼な事を言ってしまいました。
君は今
私は結局最後まであなたの名前を呼ぶ事はなかったですね、会長。
私があなたの名前を呼ばなかった事に、あなたは気づいていたんでしょうか?いつ気づいたんですか?聡明なあなたの事ですから私よりも早く気づいた事だけは確かでしょう。
なんせボクは、私がボクになってから随分経つというのに、ついさっき初めて空から君を連想して懐かしいなどと想いながらその名を口にし意味もなく空に呼びかけては、たった今初めて一度も君に名前で呼びかけたことがない事に、呼ばないようにしていたことに気づくような薄情な大馬鹿者だからね。
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ある船の上
「くちょん、すごい風だねー、これじゃ気持ちのいい風とは口が裂けても言えないよ」
「夕焼け?うっ、寝過ぎた?いや、セーフ。誰も部屋に怒鳴り込んでないからね、これは間違いなくセーフ」
「しかしこうしてみるとあたり一面の海と空、絶景だね、夕焼け、赤い物寂しげな空、ボクが好きな何処までも広くて蒼い青空とは違うけど、これもまた一興、この空もあの爽快な空の延長線だと考えると本当に世界っていだい..だよ.ね」
延長線?......あ、、かい..ちょう、......っ!
・・・
会長、あなたは今もはじめて見た時のように何処までも広く澄んだ青空みたいな、私が魅力されたあなたのままですか?
そうあり続けてくれていますか?.....
この期に及んで想いを馳せるのはまだそんな私利私欲なことばかりか、本当に...ボクって、はぁ
それでも、こんなボクでも、心の何処かで偉大じゃなくても、綺麗じゃなくたっていいからこの大空の何処かで君が君のまま笑っている姿を心から祝福してるよ、......そう願っていると信じているから。
さて◾️◾️◾️、君は今どこで何をしてるかな?
小さな命
私からボクになった私も、ボクが騙る私もあの頃から、いや、最初から小さな命だということだけは今も変わらない。それだけは何も変わらない、何一つとして同じものがなくなってしまっても、ボクが今もあの小さな命の延長線にあるという事だけはこれからも決して変わらないから。これからのボクがボクでなくなってもずっとその延長線に有り続けるのだろう。
それが救いになる日が来ると昔のボク(私)は考えもしなかっただろうね、それが変えられないのを忌み嫌って私はボクになったのだから。