優しさだけで、きっと
ヴィルはなんでも出来るから。思い出の残り香を背に何処までも走っていく、本当にあの子は妙な所でだけ思い切りがいいんだから。
そうね、残酷なぐらいに優しさが効く子だったもの。
薬も過ぎれば毒よ、優しさはあの子に効き過ぎる。
優しさも愛も乾いた所には一滴も降らないのに、今にも溺死しそうな人の所には嫌というほど降り注ぐもの。
やれやれ、手のかかる子ほど可愛いとは言うけど、手塩をかける程、斜め後ろに突っ走るとは本当にヴィルは仕方がないな。
青空を写した泉のような澄んだ青と赤黒く濁った赫、そして燻んだ灰色はそういって走り出した。
5/3/2026, 2:08:06 AM