あれは昨年の11月のこと。何年も病院に入院している叔母の誕生日を祝いに、病院を訪れました。
コロナの流行以来、度重なる面会制限のためにわずかしか会えなかった叔母は、病室に現れた母と私の顔を無言でじーっと見つめていました。
入院したばかりの頃はもっと元気だったのに、この一年ぐらいは口数もめっきり減っていました。それでも我々のことはちゃんと認識してくれて。何か言いたげな目で見つめられると、思わず涙がこぼれてしまった私は、マスクで顔が隠れていることに感謝しました。
面会時間は10分。私達が一方的に話しかけるだけでしたが、時間はあっという間に過ぎて行きました。母が、
「もう疲れたでしょ。そろそろ帰るね。」
と言うと、
「まだ疲れていないよ。」
か細い声で言った叔母のこの言葉が、最後に交わした会話となりました。
この1月に71才でこの世を去った叔母。最後の数年は病院のベッドで過ごす日々で、悲しいこともあったでしょう。
でも、明るくてよく冗談を言っていたあなたのことを、私はずっと忘れません。天国では自由になった体で、とても上手だった歌を歌って、たくさんの人を喜ばせているでしょうか。いつか私も、もう一度あなたの歌声を聞ける日を楽しみに、毎日を精いっぱい生きて行こうと思います。
落ち込んでクヨクヨしているカズオさん。
顔はどんより曇ってて、心の中はドシャ降りの雨。
そんな時もあるよ。落ち込みたい時はとことん落ち込んで。
でも、明日もし晴れたらビアガーデンにでも行ってみようよ。空の下でビールを飲んだら、心も晴れるかもしれないから。
愚痴とか悪口とか、どうでもいい話は聞きたくないし。
テレビは必要のない情報のたれ流しだし。
好きな歌でさえ耳障りだし。
今は一人でいさせてほしい。
そう思うこともあるけど。
結局、一人でいるのも落ち着かなくて。家族のいる我が家に足が向いてしまうのです。
真っ黒な澄んだ瞳でママを見上げながらお鼻をヒクヒクさせるあなたたちは、最強すぎて。服従以外の選択肢はありません。
ただでさえ可愛いのに、おねだりする時の顔と言ったら。
世界中のアイドルが束になってかかってきても、あなたたちには敵わない。
たとえ嵐が来ようとも、頑丈な体で私を守ってくれるあなた。せまいとか、駅まで遠いとか、近所にドラッグストアがないとか。文句ばっかり言ってたらバチが当たるよね。
今日もたくましいあなたのおかげで、安心して眠りにつくことができます。
ありがとう、私のお家さん。