スマホでマンガを読んでいたら届いた、1件のLINE通知。
もう二度と会うことはないと思っていたあなたからの、
「元気?」
っていうメッセージ。心がざわついたのと同時に、ちょっとうれしかったのも事実。やだ、まだ未練が残っていたのかな。
元気だよって返信したら、ひさびさに会いたいって。突然何なのって思ったけどさ、やっぱりうれしかった。それなのに。
アパートを引き払って実家に戻ってるから、ホテルでいい?って。
あっ、そういうことですか。
でもね、もう2年前の私じゃないの。そんな誘いにほいほい乗っからないからね。一瞬感じたドキドキを返してよ。ため息をつきながら、マンガの続きを読み始めた。
遅刻しそうになりそうなのを、ダッシュで門をくぐる。ギリギリセーフ。上履きに履きかえて、階段を上って自分の教室に駆け込む。幸い、担任はまだ来てないみたい。
ホッとするのも束の間、1時間目は大嫌いな体育。やば、体操服を持ってきていない。どうしたらいいのか途方に暮れていると、担任が扉をガラッと開けた。
「おい、早く起きろ。」
はっと目が覚めると、いつもと同じ天井がある。よかった、夢だったんだ。
それにしても、40過ぎてるのにどうして高校生の時の夢を見るんだろう。若い時に戻りたいのかな。でも、夢でよかった。学生なんてこりごりだもん。
当たり前のように当たり前って言葉を使っているけれど、改めてその意味を調べてみる。
・そうあるべきこと
・分かりきった言うまでもないこと
・普通のこと
私にとって当たり前のことってなんだろう。
家族がいること。耳の長いフワフワな娘たちが元気に飛び回ってること。朝起きたら歯を磨いて顔を洗うこと。毎日掃除すること。家族のために食事を作ること。洗濯すること。ユーチューブ見ながら運動すること。毎日お風呂に入ること。毎晩晩酌すること。
家族やウサギたちがいるのが普通。家事をするのが普通。健康を気遣うのが普通。身だしなみを調えるのが普通。
何でも当然のように受け入れているけれど、本当に当然のことなのだろうか。
家族がいなくなる可能性もあるし、ウサギたちは私よりも圧倒的に短い生涯を終える。掃除をしなくたって死にはしないし、お風呂に入らなくても生きていられる。
じゃあ、家族やウサギたちのいない人生でいいの?汚い部屋で過ごす?不健康で不潔な体で生きていくの?
やっぱり、私は今の当たり前のままで生きていたい。
だから、当たり前のようにいる家族やウサギたちに感謝します。そして、当たり前のように歯磨いて家事して運動してる自分をほめてあげます。
ありがとう。いつもがんばってすごいね!
駅の改札を出て階段を降りている途中、いつもの場所に立っている父の姿が目に入った。父の隣には愛犬のリュウがちょこんと座っている。
「ただいま。」
「おかえり。」
リュウがしっぽを振りながら私に飛びついてくる。父からリードを受け取ると、リュウが勢いよく家の方向に向かって歩き出した。
「もう迎えに来なくていいのに。」
「うん、でもリュウが散歩に行きたがるから。」
あれは半年前のこと。駅前でオートバイと接触して私は軽い怪我を負った。それ以来、何時だろうと私を駅まで迎えに来るのが父の日課になった。
母に聞かされた話なのだけれど。事故の知らせを聞いて、父は心の底から心配したらしい。半年前に離婚して出戻った私が、思い余って道路に飛び出したんじゃないかと思ったそうだ。
リュウが前を歩く父を一生懸命追いかける。
「お父さん、私ね。」
父が少し歩調を緩めた。
「もう一度挑戦してみようと思うんだ、税理士。」
会社員時代に税理士を目指していたのだけれど、結婚を機に夫の仕事を手伝うために税理士の勉強から離れていた。
「うん、やったらいいよ。がんばれよ。」
こちらを振り向くことなく、父はひたすら歩き続ける。その後ろを追いかけるリュウと私を、街の明かりが照らしていた。
今日は七夕。バルコニーから夜空を見たけれど、星はチラチラと見える程度です。
皆さんは、七夕に願い事をしましたか?
星に願い事を託すのは、星が願いを叶えてくれるからじゃなくて。自分の願い事を忘れずにいるため。
私たちの毎日の生活は忙しくて、ついつい願い事は頭から離れてしまいがち。でもね、絶対に叶えたい願いは、いつも心の中に置いておかなくちゃいけない。
たとえ現実とはかけ離れていても、たとえ不可能に思えても。願い事をしっかりと心に持って、今目の前にある課題に真剣に取り組むことが大切。
星は私たちの願い事を思い出させてくれる。そして、星を眺めていると絶対に叶うんだって自信がわいてくると思いませんか?
そんな星のパワーに触れて、今日はいい夢が見れそうな気がします。