エイ

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10/8/2025, 11:32:02 AM

愛する、それ故に

それ故に、周りが見えなくなっていた。
今思うと、わたしは大分おかしくなっていたようだ。

数十年来の友の言うことすらも無視し、
まだ付き合いも未熟な男に泥酔し、言いなりになっていた。

だが、愛というものは熱しやすく、過ぎ去りやすい。
今ではもう、いっときの過ちとしか思えない。

10/7/2025, 12:29:06 PM

静寂の中心で思いを叫んだ。
風に溶けるように消えていったけれど、
ほんの少しだけこの世界に反発が出来たようで、
ほんの少し、嬉しくなってしまった。

指折り数えるだけの日々の中で
ほんの少しでもいいから、変化を求めてしまう。

10/4/2025, 4:19:49 AM

誰か


誰か!
と、叫んでみたが辺りは何ら変わりなく、漆黒の中に朧気な明かりを灯している。

私が誰でもない誰かを呼んだとて、誰も私を認識しない。
隣に住んでいる隣人すらもどんな人だったか忘れてしまった。
名も知らない誰かは私のすぐ側に居て、何も言わずにただ潜んでいる。

その誰かもまた、私を知りはしない。

10/2/2025, 1:40:20 PM

遠い足音


近く、遠い、ずっと遠い。
そのはずだったけど、いつの間にか私の側にいて、
すぐに消えてしまった。
追いかけたかった思いをグッと押し殺して、
貴方の背中が小さくなるまで、見つめていた。

10/1/2025, 2:26:40 PM

秋の訪れ


今年の森は木の実の匂いが薄く、
土の中で眠る虫たちも例年より早く静かになった気がする。
こう、森から食糧が少なくなってしまうと、こちらも生きていくにはしんどくなってしまう。

秋が来たら、私は眠る準備を始める。
例年では鈴なりに実った木の実を胃に詰めたが、
今年は様々な場所からかき集め、ギリギリ足りるかどうかだ。

昨夜、私の縄張りの中で人間の足跡らしきものを発見した。
私のすぐそばにも人間が迫ってきていると思うと、全身がこわばって仕方がなかった。

私はこの冬、きちんと眠れるだろうか。
眠る前に私を何かが見つけてしまうのではないか、そんな思いが頭から離れなかった。

それでも私は、食糧を探し続ける。
森が昔と大きく変わってしまっても、私は生きていくために歩み続けるしかないのだ。

今日、眠る前に口に含んだ木の実が、
いつも以上に苦く感じた。


(熊視点で書いた物語です。)

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