旅は続く


とっくの昔に世界は終わったが、俺はまだ1人で旅を続けている。
木々に飲み込まれ始めた都市の中心で大の字になって日光浴をする。なんて非常識な事をしても、今では誰かに咎められることなどない。
常識なんてものはもうこの世に存在していないのだから。
必要最低限の物資を詰め込み、パンパンになったリュックサックを肩に下げて、1人、歩く。
キラキラと輝く森に包まれたこの都市を1人で。

モノクロ映画を観た。
時代を感じて、少しノスタルジーを感じた。

液晶越しにしかあの世界を見れないけれど、
失われた色を私は見ることができないけれど、
想像の中では色彩が花開いているよ。

永遠なんてないけれど、
ただ、ずっとこの言葉を脳裏でこだまさせながら、
貴方と一緒に目を閉じた。
次に目が覚めた時、貴方がいなくても、涙が溢れないように。

最初からわかっていれば悲しくなんてないよ。
きっと。

涙の理由


頭の上にぽつんと、一つの水滴が落ちた。
その後にどんどんと、水滴の量は増えて土砂降りになった。
お天道様が泣いているのだろうか？
姿も見えない貴方は何を思って泣いているの？