秋。
おいもモナカ、というアイスを知っているだろうか。
これは季節物アイスの中で私史上ナンバーワンのアイスである。大体スーパーで見かけるがコンビニもたまに置いてあるので、見つけたら本当に本当に食べてみてほしい。マジで美味しい。永遠に食べていたい。もう、もう大絶賛である。
冷たいのに焼き芋。本当に不思議。ガワは最中だし、別に中身だって本当の芋じゃないアイス。パッケージを持った感触は何かデコボコしてて不安になるかもしれない。
しかし! しかしだ。それはさつまいもを忠実に再現しているだけで、寧ろ袋を開ける度に感動すら覚える。開けた瞬間ふわりと香る甘い焼き芋の香りもなんだか混乱させてくる。こいつはアイス。間違いないのに、焼き芋なのだうまい。
一度も買ったことのない人は本当に買ってみてほしい。冷蔵庫に常備したくなる魔力を秘めたアイス。されど季節限定という絶望を味わう仲間がほしい。
窓から見える景色。
随分と変わってしまったと思う。少しずつの変化もあるけれど、ここ2年は。例えば夏に聞こえた祭り囃子も、遠くに見えた花火大会も。夏祭りは当日に向けての太鼓の練習なんかも聞こえていたから、余計に。
神輿が通るのを見るのは好きだった。小さい山車も。もう見事に2年分そうして過ごしていないんだって思うと凄く勿体ない。
日本人は本当に不思議な生き物だよね。自分でもそう思うんだから他の国の人にはさぞ面白く映ってるんだろうな。
神社に御宮参りして、七五三して、成人式して。勿論神社で角隠しもあるけど、大体の人が教会で結婚式して、最期は戒名もらって寺に入るんだよ。
イースターもクリスマスもハロウィンもバレンタインも楽しむくせに、家に帰ると神棚があったりする。でも初詣に教会には行かない。そこは洗礼とか受けたりちゃんと週末にミサとか出てる人くらい。初詣には寺か神社。本当に日本人はイベントが好きなだけ。流石は八百万の神の国の民だよ。唯一絶対神的なのもごちゃごちゃにしてるけどいいのかな、と時折不思議になる。私はごった煮でも気にならないけど、熱心にそちらへ信仰してる人にちょっと聞いてみたい。
この2年は、何回神社仏閣行ったかな。本当はしてる分のお参り出来てない気がする。夏祭り分は確実に行ってないわけだし。変わったのは景色か私か。
なんだかんだ言ってやっぱり手を合わせるには神社が好きなんだよ。私の家からは神社が一番近いってのもある。というか窓から見えてるし。
因みに日本には大小合わせて8万以上の神社があって、その内の4万くらいが八幡神社なんだって。
はじめ聞いた時、「はちまんのうち、よんまんがはちまん。うん???」ってなった思い出。
形の無いもの。
「形あるものは壊れるし、形の無いものは忘れる」
これ、確かなんか見てた時に言ってたやつ。誰かは忘れた。本当に言い得て妙だと思ったのは覚えてるんだけど。
めちゃくちゃ大事に着てたコートとか、初めて買った革の鞄とか。それでも色褪せるし、使えば穴は開く。高校の時にバイトして買った物は流石に手元に残ってないよね。
見た目が気に入って買って、するとそういう物は割と作りが甘かったりするのにも気づかなかったり。まだ目が育って無いとも言える。一目惚れしたのは靴だった。大事にしてたつもりだけど、歩き方って直せないもんだし。
底がめちゃくちゃ固い革靴で、踵がメキって言って外れた。本当にびっくり。しかもそれ別に踵だけ高いやつとかじゃないのに。普通の、寧ろコンバースみたいな真っ平らっぽいやつだった。あの時の音は今も思い出せる。出先から、そっと歩いて帰った。
結局その靴は買うのと同じくらいかかって修理に出したけどまた同じことになって、最後は捨てた。見た目凄く好きだった。5回も履けなかった。高校生には痛すぎる出費。
形あるものは壊れて、無くなってしまえばこのお題をもらう今の今まで忘れてた。
ジャングルジム。
最近はもうないかな。球体で、ぐるぐる回るやつ。懐かしい。それがあったのは小学校の隣の公園。私がいくつの時か忘れたけど、公園で遊ぶ年齢じゃなくなって、なんかわりとニュースになるような事故があって。各地で取り外していますみたいな報道もあったから、今もし残っているならそれって結構レアかもしれない。
小学校の校庭の方には、かなりでかいやつがあった。こっちは真四角のやつ。本当に大きかった。一番上から落ちたら割と危ない高さ。でも、うんていとか、高鉄棒も登り棒もあったからそこまで目立ってなかったな。
登り棒は今思えば事故なかったのが不思議なやつだ。三メートル以上は確実にあった。校庭の桜のそばにあったけど、同じくらいだったんだから。
高鉄棒はあれね。体操選手が大車輪とかやる高さのやつ。鉄だけど。流石に使ってるのは体育の先生以外は滅多にいなかった。危ないとかじゃなくて、純粋に小学生だと大人がいないと手が届かないから。
昔って本当に自由だ。少しくらいの痛い目みて育てよって言うのかな。それとも私達の親世代はあの登り棒簡単に天辺まで登ったってことかな。そっちな気がしてきた。
声が聞こえる。
昨日の秋の風も踏まえると、だいたい隙間風が女の人の啜り泣く声に、とかになる。怪談という優しい嘘。
そういえば夜の学校には、小学生の頃行ったことがある。
ママさんバレーとか、地域にいるその道のプロみたいな人に教わる剣道とか、そういうのが割と盛んな地区だった。私は何も入っていなかったけど、上の兄弟の送り迎えとかについて行ったんだと思う。
私の通っていた学校は、体育館が最上階にあった。四階。階段は校舎の真ん中と職員室のある側の一番端にあった。職員室側の階段は普段は使ってはいけなくて、生徒は真ん中の階段を使うルール。
夜のレクリエーションの為には、校舎の端の階段を使って登る。体育館には一番近いから。あと校門にも近いから、わざわざ真ん中の階段を使わない。だから堂々と生徒が使うのは親とか、引率がいる夜だけ。
今思えば、職員室側の階段はすぐ近くに給食を運ぶカートを乗せる専用のエレベーターがあって、生徒が挟まれないようにとかそういう配慮があったんだと思う。ボタンは剥き出しで、誰でも触れた。築数十年の校舎の、当初のシステムだから安全装置もない。挟まれたりしたら本当に死ぬような事故になるやつ。
どちらかというと工業用昇降機って呼んだ方がしっくりくる。人用のエレベーターではないから、中に電気なんてない。
「入って、いなくなった子がいるんだって」
という、七不思議。
だから行ってはいけないよ。特に風の強い日は、職員室側の階段はその子の泣いてる声がするからね。