私の父は何とも哀愁のある人だった、人の良い男で頼まれるとなんでもやる人間だった。
何でか無口な癖に人に好かれる、そして女の人にも好かれる。人とつるむのが苦手でよく、一人で飲みに出掛けていた。でも、朝になると知らない人間を泊めて居たりする。
母は、何も言わずに朝ご飯など出してやっていた。
そんな父がある時家出したのだ、スナックの雇われママど。多分、頼まれて一緒に行っちゃたんだと思う。
学校の帰りに、父が校門の前に居た帰ってきたの?
母さんは怒ってるかい?当たり前だよと。娘に怒られながら、哀愁のある後姿で前を歩く。娘はスキップしながら後ろを歩く。
結婚してからだいぶ立つ、子ども達にも恵まれ穏やかな日々を送っている。彼はすら〜とした人だったが、今も余り変わらない。
私はと云うと、だいぶ様子が変わった。
子を生み育て旦那のお世話をし、時々義両親のご機嫌伺いをし。穏やかだが、忙しい日々を送っている。
たまに、贅沢に御高い温泉の素なる物で湯に浸かる。
身体を洗おうと湯船から出ると、懐かしい肥えた頃の母が居る。鏡の中の自分だった、なぁ〜んだここに居たのか。
何年ぶりかに母に会った。
ごめん、ファンタスティックな話は書けないや!
あ〜、今日も頑張ったなぁ〜とお布団に入る。
なんて良い一日だったのだろうか、今日あった事を反復してみる。
なんの事はない平凡な一日なのだが、お布団の中で反復してみると良い一日だ。
寝る前に良い一日だったと、思って眠りに就くと明日は本当に良い日になるらしい。
私のはなしを聞いて下さい、何から話せば良いのか。
幼い頃の私は、懐かない猫みたいな子でした。
何かと闘っているような目をして、睨み返す様な可愛げの無い子だったそうです。
今でもそれは少し残っていますが、隠せるようになりました。そして、物心つく頃からの記憶が曖昧なのです。
思い出したくないことが有るのか、本当に幼い時の記憶と30歳の間の記憶が無いのです。
今、目の前に居る家族が本当に家族なのかも曖昧です。
優しくしてくれる家族ですが、本当に血の繋がる家族なのかも曖昧で。
永遠に続く曖昧さなのです。
恥ずかしながら私は、スマホゲームが大好きだ!
子ども達も孫達も、もうゲームをやる歳ではない。
だからゲームばかりしてると駄目よ、とは言えないと抗議される。しったこっちゃない、楽しい物は年寄でもたのしいのだよ。
最近ハマっているのは、ロールプレイものだ!
ダンジョンとやらをクリアして進んでいく、あ〜楽しいボケ防止に最適だと思う。
後ろでウダウダうるさい娘を、ダンジョンに置いてきぼりにしてやろうかしら。色々なダンジョンの遭った人生だったけど。あ〜今が理想郷だわ。