木枯らしが吹き、色褪せた落ち葉が舞う。
落ち葉と共に、虫の死骸も舞っているように見えた。
「こいつらは何を成したのだろうか。」
老人は、ベンチで1人呟いた。
木枯らしが強く吹きつける。
「何を成したか。
これで私は満足だろうか?」
木枯らしが冬の訪れを告げる。
同時に、いくつかの灯火を吹き消していく
「いや、満足なのかもしれない」
「そうだ。あまり我々を待たせるな。」
いつの間にか、目の前には黒スーツの男が立っていた
「行くとしよう。」
冬が訪れる。
昼下がり。
二人の男が、コーヒー片手にこう話す。
「美しさというのは、不変的だ。」
「そうだろうか。」
「百人一首は知っているだろう。
それに自然を詠んだ和歌があるんだ。
現代人と平安の人々で、美しさの基準というのは変わらないのだよ。」
「どうにも、不変という言葉はしっくりこない。」
「話は変わるがね、不変なんてものはないと思うんだ。」
「ほう」
「的外れかもしれないが、ビザンツ帝国。
あの1000年以上続いた帝国でさえ、
最後はオスマンに滅ぼされたじゃないか。
そしてそのオスマンすらも滅びた。」
「またそれか」
「つまり、何事も不変ではないのさ。」
「やけに論点がズレたな。
そもそも最初は"美しさ"なんてテーマじゃなかった
こんな話し合いじゃ意味がない。」
「いいじゃないか。すべての話に意味を追い求めるのも疲れる。何も考えずに話をしたり、話を書くのは
楽しいんだ。」
「全く、何時間話した?話が間延びしてきている気がするよ。」
「それはそうと、"人一倍頑張る"という言葉は変だと思ったことはないか?だって、"一倍"だろ?
"二倍"の方が正しいじゃないか。」
「確実に話が間延びしてるよ。おい、コーヒーが冷めるぞ。そういえば、このブラジル産の豆なんだが...」
「もう少し意味の無い話を続けるのも良いかもな。」
この世界は七分の残酷さと三分の美しさで満ちている
おそらく、割合が変わることはないだろう
どちらにせよ、美しいものは美しいのである
二分、一分。
夜。辺りは暗闇に包まれ、
三日月だけが、淡い光を放っている。
「三日月、幸運の象徴です。」
その紳士は言った。
「だが徐々に満月へと変わるでしょうな。」
続けて老紳士が言う。
「不吉。」
「えぇ、不吉です。」
彼らの眼下には、民衆のデモ活動が、
2ヶ国の間での戦争が、島を巡った争いが、
見えている。
「行く手には災いが見えます。」
「月が満ちてきていますね。」
「えぇまったく。」
一人の学者が、
全盲の男に色を説明しようとしている。
「この世界は色とりどりです。
だが人というものは
その色で物事を判別するのです。」
「というと?」
「人は、色で価値を決めようとするのです。
愚かにも。」
「はぁ」
「色とりどりではないほうが良いのかも。
私は考えるのです。
色が存在しなければ、それらは起こり得ない。」
「何が言いたいんです?」
「私にもわかりません。
確かなのは、一部の人にはそれが足枷になる。」
「色とりどりですか。」
全盲の男はそう呟いた。