(題目しらず)
脱皮…
した皮の方が私
本体は逃げていった
私は取り残された
しわくちゃで
財布に入れると金が貯まるで?
(題目しらず)
すごく疲れているはずなのに疲れてない。
すごく沈んでいるはずなのに気分が落ちない。
じゃあ死ねば分かってくれるかな…?
とか思ってしまう。
だから、前から言っているとおり
死んでも何の証明にもならない。
そもそも対外的事象と精神的苦痛は
比例してないと気づいていない人が
多いのだから証明になりようがない。
過労や虐めやパワハラで自殺した人に
自殺するほど苦しかったんだと言う人は
自殺自体を苦しいと捉えてるんじゃない。
過労や虐めやパワハラを苦しいと捉えている。
同じ自殺にも苦しみの優劣をつける。
だから、死んでも証明にならないわけさ。
いわゆる“大したことない理由”で
苦しんでいる人は苦しみとして認識されない。
なぜなら対外的事象と精神的苦痛は
比例していると無意識に思っているから。
人は何もなくても苦しむし、
苦しんでなくても苦しむ。
苦しみとは奥の深い出来事なんだ。
泡になりたい、か…
バブリーだねぇ
泡が消えた汚濁混じりの水の中を生きてきた
その浄化には時間が必要だった
汚濁混じりの世界しか知らない私は
浄化されつつあると信じていいのかな?
(題目しらず)
「明日病院行くの?」
前から走ってくる
自転車に乗った女性から
そう話す声が聞こえた。
歳は2,30代だろうか。
若くてワンピースを着た女性だ。
自転車の後ろは子供が乗せられるようになっている。
子供と何か話しているようだ。
その自転車が私の横を通りすぎようとした時
会話が私の耳に入った。
「明日病院に行くの?」
後ろに子供は乗っていなかった。
彼女は私の横を通る時に言った。
「明日病院に行くの?」と。
彼女は誰に話しかけているのだろう?
(題目しらず)
それは奇妙な植物だった。
桃の形をした葉の先端を少し伸ばしたような葉。
ハートと言ってもいい。
その葉は細長い茎についている。
2本の茎がこれまた細いひげ根から延びていた。
どこが奇妙か?
その植物が奇妙なのではない。
その植物が生えている場所が奇妙なのだ。
私にはそれが目と鼻と口がついているように見える。
そのてっぺんには直径10cmほどの穴が開いていた。
中を覗くと薄ピンク色の培地が見える。
その植物はその培地に根を張り、懸命に生きていた。
風が吹けば簡単に倒れてしまいそうなその草は、世間では薬草として珍重されている。
頭痛にホルモン異常、動悸に不安症とあらゆる症状に効果があるらしい。
丸薬にして飲むのが主流だ。
ただし、どこで採れるか、どう生産されているかは限られた生産者しか知らないという。
今日も向かいに座る禄兵衛さんが笑顔で喋りながら飲んでいる。