深く広がる青い空に
平たい雲が羽を広げている
夕暮れ
羽が赤く色づき
東西に青から赤へのグラデーション
ようやく歩けるようになった男の子
何倍ものスピードで世界が動く
世界が広がった男の子は
今度は水に目をつけたらしい
溜められた水の表面をぺちぺち叩く
叩くたびに水が撥ね
大きな波紋が潰される
どぼんと水に手を突っ込んで
ばしゃぁと水をすくいあげる
すくわれた水はボタボタと落ち
からだと地面を濡らしていく
鼻歌交じりに散歩する
気分も合わさり耳も幾分心地いい
そのときフワッと鼻腔をかすめる
まるく広がる花の香り
嗅ぎ慣れない匂いを追って
鼻で探すも見つからない
花を知る術もないまま
いくらか嗅いで諦める
商店街に女の子
楽しそうに踊ってる
大きく跳ねて小さく振って
くるりと回って「はい、おしまい」
決まった形がないものでも
見れる触れる感じれる
見れも触れも感じれなくても
形がないとは限らない
散歩した。
少年が眺めてる。声かけた。
『一緒に探そうか?笑』
「ぁ…いや、大丈…」
(眺めるだけ眺めとこ)
「…たしかここら辺に…」
(???)
『探してんのはゴムボール?』
「いや、軟球…」
『どっから投げた?どこ落ちた?』
「この辺に落ちた」
草むらに入る。足でふみふみ。
「あった!!!」
『お?よっしゃ。』
少年に先越された。
野生になり損ねた軟式ボールが捕らえられた。
さらに散歩した。
「あの、よかったら」
(???)
自転車に乗ったおばちゃん。声かけられた。
「健康と幸せを祈りたいんですけど…。
1分ほどいただければ。」
『ハハッ、じゃあお願いしていいですか?』
道端で目を閉じる。
(2分は経過してる。笑)
『なんで私に声かけようと思ったんです?』
ぺちゃくちゃ話した。
「あ!よかったら」
『なんでしょう??』
「野菜いりませんか?」
まん丸ナスとししとう1本。
『本当に貰っていいんですか?遠慮できないたちだから本当に貰っちゃいますよ??ありがとうございます!お気をつけて。』
遠慮なくいただいた。笑
今日はおもしろい1日だった。
昔からよく不思議な人に呼び止められる。
いや?そういえば…。
最初の少年は、私が呼び止めた方だった。
本当にあった、今日のはなし。
幸せな1日だ。
人っていうのは
自分が真剣に抱えるものを
言葉にして現してもらった時
凄まじく感動する生き物だと思っている
最初は人に現してもらわなきゃ
抱えるものの正しい形さえ見えもしない
それでも目を凝らし続ければ
いずれ焦点が合って見えるようになる
…こともある、いつもじゃない
言葉や形にすることを繰り返せば
より正確に抱えるものが見えてくる
我々がここでやっていることもそれと同じ
真剣に抱えるものを言葉にして現している
その言葉が
相手の真剣に抱えているものを現した時
人を凄まじく感動させる
そう思ってる
山君猛虎にも愛心あり
※山君(さんくん):虎の別名
どんよりと 明るい夜道に 影がさす
ついぞ先まで 満面に照らせしも
素人なのに短歌を作ってと
ついこの前言われたから、その流れ…。