とらた とらお

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8/16/2023, 10:35:54 AM

「ぼくがお母さんを助けてあげる!」
母にとっては重くもない買い物かごを
半ば奪い取るように両手で抱え上げる。

母のお礼が耳に届かないほど、
それは一生懸命に全身の力を振り絞って
買い物かごを持ち上げ歩いた。

ただただ、役に立ちたいと。
誇らしい息子でありたいという気持ちで。

そんなことも忘れ育ち。
何の役にもたたず、
ただただそこにいるだけの人間に成り下がった。

家のことなぞ母がやってくれると…。

そんな月日を過ごしていたところに、
母が余命宣告を受けた。
唐突だった。

何をしてやれば母のためになるのか。
初めて本気で考えた。
だが悔しいことに何も思い浮かばない。

これまでも一瞬だけ、何かしようとは考えた。
でもやることなすこと他人よりレベルが低い。
それに気づいた瞬間、諦めた。

自分が役に立てると思えなかった。
誇らしい息子でいたい。
誇らしさで、満たされたいのに…。

…しかたがない!
時間がないんだ。

3/14/2023, 2:45:43 PM

久しぶりに見たその顔は
とても穏やかなものだった

いつもどこか疲れた表情をしていたのに
憑き物が落ちたような
清々しさ?いや、晴れやかさ?
いや、安らかさを感じさせる顔をしていた

久しぶりに見るどこまでも真っ直ぐな
けれども暖かみのある優しい目

その瞳にあてられて
こっちまで心穏やかになる

安堵した空気が
二人を包んで取り囲む

永遠に続くわけもない
けれどその時間を切望するでもなく
ただただ夢中で見つめ続けた
互いのその安らかな瞳を

3/13/2023, 4:45:40 PM

私があそこで出会わなければ
最愛の人を不幸にしなかったかもしれない

私があのとき運命に抗わなければ
出会わなくてすんだかもしれない
そのかわりこの世にもいない

出会った時から思っていた
犬になって出会いたかったと
忠犬としてそばで支えたかった
人である必要はなかった
ただ、主の幸せを、笑顔を、癒しを
傍にいて守りたかった
ただ、それだけだった

何度も伝えたんだけどね
毎回断られてしまった
人でなきゃできないことがあるから
犬になってはダメなんだとさ

はてさて、どうしたものか

3/11/2023, 1:44:19 PM

離れてからずっと、
愛する人に試練の日々が続いている。

一つ一つが重く、
私の助けなど直接的な解決には繋がらない。

ただ、相手の力を信じて、
落ちかける心を支えてやるしかできない。

日々身を削っている。
傍にいてやることもできない。
ただただ、少しでも早く
平穏な日々を取り戻せるように。
そう祈り、支えてやることしかできない。

心の底から笑える日を。
何も考えず落ち着ける時を。
1日でも早く、平穏な日常が
あなたに訪れますように。

2/27/2023, 1:59:39 PM

あれしなきゃ
これしなきゃ
ほら、あれだって
目につくことを片っ端から処理していく
やけに今日は軽快だ

普段の重い腰は何だったのかと
いつもこれくらい軽快であればいいのにと

ひととおり処理し終わると
やるべきことが見つけられない

いいや、ある

本当はある
もっと大きな爆弾が

何かした気になってる間に
安心感を得ようとしている間に
どんどん危険度を増していく爆弾が

そう、今までのことは現実逃避
すべきことから目を反らす

小さな達成感の積み重ねと
増す罪悪感を萎ませる
悪魔の誘惑

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