どこまでも続く田んぼを駆けている。
稲は刈られ、青い草が生え始めた田んぼだ。
脚の筋肉を使って、全速力で駆けていく。
勢いはついた!
サッと両腕を広げる。
ふわっ
勝手に上に上がっていく。
ぐんぐん上がって空にぶつかりそうだ。
イタ!
ほんとにぶつかった!?
どんどん高度が下がってゆく。
空を飛びたいのに!
結局地面に近付いてしまった。
仕方がないからまた地面を蹴飛ばす。
ふわっと上がって広大な土地を見下ろした。
見えるもの全てが、自分の物のような、
そんな不思議な感覚に、私の胸は満たされた。
こんな夢を見た
会える見込みは低かった。
事前に約束しているわけでもない。
何なら移動はしないと伝えていた。
けど、会える可能性が少しでもあるなら、会いに行きたいと思った。距離は関係ない。陸続きでさえあれば会いに行けた。
後悔したくなくて行動に移した。
寝袋と必要そうなものだけ適当に詰め込んで、無計画に車に乗った。
君には会いに行っていると伝えなかった。
ただ「家出して旅に出る。探さないでください。笑」と。
限られた期間内にたどり着かないかもしれない。
君が家から抜け出せるとも限らなかった。
余計な期待や葛藤をさせて心を煩わせたくなかった。
会えるかもしれないと思えば、移動は苦ではなかった。
休憩に立ち寄った場所から旅の写真を送った。
食べ物はディスカウントストアで適当に。
比較的安い温泉を探し、湯船にだけは贅沢にも浸かった。
寝場所を探し、「少しお借りします」と車を停め、寒波が襲う中、寝袋と毛布にくるまった。
微塵も苦ではなかった。
むしろ、達成感のようなものを感じていた。
旅の写真を送りつつ、着実に君の元へと近づいた。
ようやく君のいる町へと着いた。
君がよく見知っている建物の写真を送りつつ、「会えるタイミングはない?」と尋ねた。
なかなか既読がつかない。
不安と期待が渦巻いていた。
やることもないから、車内で休んでいた。
思っていた以上に体は疲れていた。
日差しが暖かく、心地いい。
返信が来た。
「ほんとに?
今どこにいるの?」
「まだここにいるよ
どこにでもいけるよ
会えるなら
会えなくても…、まぁ…、いいけど」
「そこ」
「じゃ、ここにいる」
たったの20分、待つだけだった。
期待に胸が膨らんだ。
見知った車が駐車場に入ってきた。
そこには8ヶ月もの間、会うことの出来なかった君の姿があった。
総移動距離3,064kmにもなった旅の序章である。
君に会いたくて
まさに今日、日記が閉ざされた。
木枯らし
風速は秒速8m以上
北よりの風
秋から冬に向かうとき吹く風
風が吹くたび葉を落とし、木を丸裸にして枯らしたようにしてしまうから木枯らしという。
実りの秋、色鮮やかな秋からモノクロに近づいた、裸の目立つ冬に変わる。
ビューと吹く
淋しくなる
木枯らしが鼻先をかすめると、つーっと鼻水が。
乾いた空気で喉は枯れ、がらがら声に咳コンコン。
淋しい世界に心も枯れ、ちょっとしたことに心折れそうになる。
ふとした時に涙が流れ、止めようにも止まらない。
涙枯れようかという時に、新たな風が吹いてくる。
風速は秒速8m以上
南よりの風
冬から春に向かうとき吹く風
春の訪れを告げてくれる
その風を、春一番という。
枯れた木々に芽吹きをもたらす
(詩でも書いてみるかと特徴をメモした。
が、力尽きてそのまま投稿した…。
体裁整えたから許して欲しい。)
我が心に問うてみる。
「美しい」と思うたことあるか?
『さほど無し』
これに尽きる。
美しさを捉える心がないのだろうか?
そうかもしれない。
「綺麗」を捉える心はあるが、どうも「美しい」を捉える心が乏しいように思う。
「綺麗」と「美しい」の違いは何なのか。
きらきらとした光・輝きか、心地よく整った造形かといったところだろうか。
美的センスがない辺り、心地よく整った造形に注意を向けることは確かにない。
いや、あった。
チラシの構成を考える時。
文章の体裁を整えている時。
こういった時は心地よく整った構成に注意を向ける。
そして、確かに「美しい」と感じる。
微々たるところで美しいと感じる心が動いている。
美しさで心を潤すべく、美しさを捉えていこうと思う。