あじさい
憐れみを集めても
飽きられあしらわれ
愛されない
諦めはあたしに合わない
綾織りの雨を浴びて
あてなく歩こう
嵐のあと
あげひばりは
明るくあらがい
朝は鮮やかに新しく
あなたとあたしのあわいに
憧れは甘く
あした逢えなくても
あじさいは
あでやかな青
(まことにすみません今回のは過去作を載せました
いちおう「あ」で頭韻を踏むポエムです
好き嫌い
筋っぽいなあと思いながら肉と骨をガジガジ齧る。でも贅沢は言わない。好き嫌いも言わない。好き嫌いがないのと好き嫌いを言わないのはまるで違う。あたしにも好き嫌いはあるよ、あるけど言わないの。食屍姫メリフィリアみたいに「食べたくない…」なんて泣かない。食べないと死ぬし。あ、これアンデットジョークなので笑うとこよ、あたし食屍鬼、好き嫌い言わないで死体を食べる。
街
「六月の夜の都会の空、そうそれは素敵ね」とたいして素敵だと思ってない顔で彼女がいう。街の夜空は明るくて星があまり見えないので彼女は街が嫌いだ。そのくせ淋しがりの彼女は夕暮れちょっとすぎにこのバーにやってきてマンハッタンを注文する。ウイスキーに甘味と苦味、ぼくはいつものようにマンハッタンを作り彼女の前に置く。彼女は美の女神、街におりてきたヴィーナス、街の夕空で孤独に輝く金星の化身もたまには酒を飲みに来る。
やりたいこと
todoアプリを使うのが苦手でゲームっぽくなってるのとか予定をこなせたらごほうびもらえるのとかやってみたけどダメで、やりたいことってなんだろなあと呟いたらスマホが反応して言い出すには「やりたいこととやるべきことは別です」、そうだよね、なんで忘れてたかな、やりたいことは決まってんのよ、秘密結社のトップだもんあたし、目指すは世界征服と人類絶滅! でもとりあえず晩御飯つくろ。
朝日の温もり
何年振りだろうかと自分に問うてみるが、思い出せぬ。Interview with the Vampireを見たとき映画の朝日では感慨はあまりないなと思ったのを思い出すが、あんなのはごく最近のことだから思い出せるだけだ。長く生きた。もう消えてよいと思う。カーテンを開けて東の空を見つめる。日が昇ってくる。案外暗い。思い出にある朝より寒い。しかし確実にこの身を焼く朝日、その温もりの懐かしさよ。