「冒険」
星瞬く深夜2時、草原にうねるような強く激しい風が吹き荒れた。
僕は、風に煽られた茶色い上着を着て身震いした。
それでも、カメラを捉える視線だけは離さなかった。
「あ」
思わず、声が漏れた。
空から一筋の星が流れた。
さらに数分後、箒星が夜空を駆け巡る。
僕は夢中でカメラのシャッターを押した。
星との出会いは冒険である。
これは僕の持論だ。
幾億光年の彼方から光る星々の、
最も美しく煌めく空を切り取りたくて、
いつもカメラを片手に山頂で足掻く。
僕が星空撮影を生き甲斐になったきっかけは、昔大学の友達と深夜に高尾山を登り、星を眺めた経験からだ。
山頂付近から、都会の方に上がった花火を上から見たのも印象的だったが、何より山頂で星空の煌めきの美しさに圧倒された。
夢中でスマホのカメラでシャッターを押した星たちは、後で見ると見事にピンぼけしていて、とてもがっかりしたのを覚えている。
しかし、心に記憶された美しい星は僕の人生を明るく灯した。
あれから10年、少しずつ、星空撮影をするためにカメラを覚え、日本各地の星空の綺麗な山に登っては、撮影してきた。
今夜の星も、自分史史上最高に美しい。
星空と出会うたびに、更新していく記録だ。
今宵も星々と見つめ合う至高の時を楽しもう。
「あの日の景色」
海辺を走る路面電車
田園と海のコントラストに酔う
ノスタルジーを詰め込んだ田舎の景色
眩い太陽照らす中
海辺を走る路面電車
隣り合わせの君と僕
2人の見ているものは同じだと思っていた
潮風が君を掻っ攫う
途中下車は知らない街の知らない海辺
行き当たりばったりの旅路
海辺を走る路面電車
君を下ろした路面電車
海と田園の中で笑う君の姿を
僕は記憶に焼き付けた
海辺を走る路面電車
僕は君の残像を感じながら
続く地平線へと目を向けた
これは願いだ。
息を吸うことを忘れて、肺に言えない言葉が沢山詰まった誰かのための備忘録。
抉るような傷跡
擦り切れた精神
崩壊する自我
それら全てを理屈じゃなく体験した誰かへ
言葉すら紡ぐのが憚られるほど
息を潜んで生きている貴方の人生は
貴方が思っているよりも尊い
例えば、空の青さを意識して取り戻した感情の静けさ
例えば、満身創痍でも日常を送れるしなやかさ
例えば、誰かの気持ちに寄り添って沈黙する優しさ
貴方の人生は貴方が思っているよりもずっと尊い。
明日朝日をまた拝めるのならば、
自然と誰かの頬が綻ぶように。
祈りは灯火。
願いは流水。
祈りは消えやすく
願いは流れていくけれど
それでも変わらぬものなどないのだから。
「願い事」
空しい恋。一生貴方だけを見つめているのに。
まだ今生では、出会えなくて。そもそも今生、地球にはいなくて。それでも他の誰かに目移りしないから
我ながら一途だなぁと皮肉を言う。
魂の記憶の中の貴方の面影をいつも感じてる。
青い息吹が海面を駆け巡る。
遠くの世界の噂話を大海原の上
撫でるように囁きながら広めていく
笑い話、悲しい結末、さまざまなお話を
海を泳ぐ生き物たちに
風と戯れる鳥たちに
伝えていく
青い息吹が海面を駆け巡る
私の街の噂話を大海原に向けて
撫でるように囁きながら広めていく
「青い風」