towa_noburu

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「冒険」
星瞬く深夜2時、草原にうねるような強く激しい風が吹き荒れた。
僕は、風に煽られた茶色い上着を着て身震いした。
それでも、カメラを捉える視線だけは離さなかった。
「あ」
思わず、声が漏れた。
空から一筋の星が流れた。
さらに数分後、箒星が夜空を駆け巡る。
僕は夢中でカメラのシャッターを押した。

星との出会いは冒険である。
これは僕の持論だ。
幾億光年の彼方から光る星々の、
最も美しく煌めく空を切り取りたくて、
いつもカメラを片手に山頂で足掻く。

僕が星空撮影を生き甲斐になったきっかけは、昔大学の友達と深夜に高尾山を登り、星を眺めた経験からだ。

山頂付近から、都会の方に上がった花火を上から見たのも印象的だったが、何より山頂で星空の煌めきの美しさに圧倒された。

夢中でスマホのカメラでシャッターを押した星たちは、後で見ると見事にピンぼけしていて、とてもがっかりしたのを覚えている。
しかし、心に記憶された美しい星は僕の人生を明るく灯した。

あれから10年、少しずつ、星空撮影をするためにカメラを覚え、日本各地の星空の綺麗な山に登っては、撮影してきた。


今夜の星も、自分史史上最高に美しい。
星空と出会うたびに、更新していく記録だ。

今宵も星々と見つめ合う至高の時を楽しもう。

7/11/2025, 4:11:32 AM