落ちていく
あれはそう20代の頃。友人と3人でアメリカのフロリダへ旅行したお話です。
〇ィズニーワールドで本場のタワーオブテラーに乗った時に、今は違うかもしれませんが、安全装置が長いバーがガチャンと上から降りてきてお腹あたりで止まるタイプのものでした。
ところが!思ったよりバーが降りてこないんですよ。
あれ?こんなもん?と思ってましたが…
違う!横の恰幅のいいダンディな方のお腹でストップされてる!なんていうワガママボディ!横に座った私たち3人組は小柄。
まあそうは言っても、大手のアトラクションですから。うんうん、なんて思ってましたが…
落下した瞬間、落下速度でおしりが浮き、バーを両腕でしがみつかなければまずい状態に!やっぱダメー!!!死ぬー!まじで死ぬー…
…ある意味すごい恐怖を味わえましたわ。
友人2人も同じだったらしくガチで死を覚悟した瞬間でした。
それ以来…落ち物系アトラクションはガチで乗れません。
どうすればいいの?
そうあれは息子がまだ生後6ヶ月位のこと。
抱っこ紐ばかり使っていたのですが、おぶったら手が自由に使えるかもと思い、おんぶ紐を購入。いざ使っているとこれはいい!息子も景色が見れて楽しそう。
よしおんぶ紐で買い物デビューだ!と近所のスーパーへ。
前側のスペースが空いてるので、カゴも持ちやすいしいいぞいいぞ♪と思っていたのですが…
会計の時、店員さんが申し訳なさそうに私にこう言いました。
「あの…そちらの商品は購入されます…か?」ん?そちらの商品?店員さんの目線をたどって振り返ると…息子がからしチューブの箱をむんずと握りカミカミとかじっているではありませんか!あ、すいません、すいませんと謝罪しもちろん購入…
息子よ、いつの間にそれを握ったの?しかもからし…せめてしょうがかニンニクにして。いやどっちもダメか…
私が前側の楽さと引き換えにしたのは、息子が自由に動ける事だった。
どうすればもなにも、買い物の時のおんぶ紐は封印となりましたとさ。
からし…なかなか減らなかったな
宝物
トゲトゲしたかっこいい石
お土産にもらったお菓子の袋
卒園式につけた造花の花
ポケモンのシール
幼稚園の先生の年賀状
息子の大事なものの箱に入っていたもの
大きくなってその箱を開けた時
なんでこんなもの?と思ったかしら
忘れてしまっているかもしれない
でもねその瞬間
あなたの宝物だったもの達
きっと大きくなるにつれ
大切なものは変わっていくことでしょう
それでもいい
その思い出を忘れしまっても
その瞬間はなによりも大事なものだった
何かを大事に思うその感情すら
あなたをつくる大事な欠片
今度はどんな素敵なものが
入るのかしらね
私の宝物は
あなたがその箱に色々と入れた時の
エピソードそのものです
かなで
キャンドル
あれは看護学生の頃の話。
12月中旬、看護学生がキャンドルを持って病棟を歌いながら練り歩くイベントがありました。毎年恒例らしい。
12月に入った頃から歌や歩く時のフォーメーションを頭に叩き入れ、来る日も来る日も練習に明け暮れましたよ。先輩ガチで怖かった…
そして持ち物に必ず定規。しかも丈夫なものとの助言付き。定規?よく分からんがポケットに入れました。
そして当日。本物のキャンドルに火を灯し歌いながら病棟の廊下を歩く。患者様には喜んでもらえていたようですが、これ本当に大変なんですよ…
まず歌ってるとねキャンドルの炎が揺れて消えちゃうの。歩く速度でも消える。とにかく消える。何度つけ直したか。
あとね…廊下にキャンドルのろうがねポトッと落ちるのよ。しかも手では取れない。
そこで登場!強い定規ー!これでゴリゴリとろうを削りまくる!少しでも残そうものなら病棟ナースからクレームの嵐!歌ってる後ろでゴリゴリと削りながら去っていく学生集団。なかなかシュール。
もうこれペンライトでよくね?と情緒もへったくれもない思考に陥りながら顔は笑顔で歌う私たちでした。
冬になったら
冬になると思い出すことがある。
介護施設で働いていた時のこと。
寒くなってくると入居者の女性陣が漬物をつける話を始めるのだ。
「大根干したいわ。半干しくらいがいいのよ。」「麹は多めが好み」「ザラメがいいのよ」「イカの珍味を刻んで入れる」「昔は樽でつけたものよ。木の樽。味がいいのよ。」「飯寿司の鮭はがっちり塩したやつね。甘塩じゃだめよね。」
各家庭のお漬物のポイントや隠し味が出るわ出るわ。認知症の方もいるので時々会話は噛み合わない時もあるけど、なんとも楽しそう。
施設に入居しているし、実際に漬けるわけではないのだけれど、絶対に美味しい。
ちょっと脳内で想像してみる。頭に三角巾をまいて割烹着を着たお姉様軍団!なんか強そうだ。きっと漬けている作業中手からなにかの美味しくなるエキス?やパワーが出ているに違いない。作業後の湿布を貼るまでがワンセットだ。売るか?絶対に売れる!
…いかんいかん。パッケージの写真まで考えてしまった。
乙女のように弾む会話を聞きながら、各家庭で漬物を出していた姿を思い浮べる。きっとみんな笑顔に違いない。
あ、ワンチャン、漬物教室の講師なら…
だめですね、はい。
かなで