モノで溢れた6畳一間の小さな王国。

好きなモノだったのに脇目も振らず
双眼鏡を覗いて“あの子”を見つける。

いつもの場所にいるあの子。
僕を見て微笑むあの子。

嗚呼。僕に何か言っている。声が聞きたい。

あの子に逢いに行かなくちゃ。

居ても立っても居られなくて、僕は窓から飛び降りた。

あの子が本当に居るのかも分からずに

#狭い部屋

ぽかりと空いた心は何時まで経っても埋まる気配はなく、
ただただ喪失感の中を漂い続ける。

こんな時、誰かが居てくれたら。なんて、都合の良い事を。

自嘲気味に笑い最後の荷物を持って部屋を出る。

さよならの代わりに合鍵をポストに押し込んだ。


#失恋

｢嘘は嫌い。｣
｢顔色伺っている人も嫌い｣
｢本音を言わない人が嫌い｣
嫌い。嫌い。嫌い。

嫌いなタイプを上げている彼女に
着込んだ嘘を脱ぎ捨てて、表情を殺した顔で言い切った。

｢私、あなたのことが＿＿。｣

私は背を向け立ち去った。

#正直

頭痛。鈍痛。倦怠感。

低気圧に押し潰されて小さくなった感覚と、
溶けてゆく感覚に身を任せ、夢の中では雲の上。

前線突っ込み急降下。

#梅雨

被った角隠しに汚い感情を閉じ込めて、

今日、私はあなたの元へ嫁いでゆきます。

#無垢