耳を澄ますと 瑞咲希(推しカプ注)
宮女での長く、それでもとてもかけがえの無い1日が終わった。クラスメイトは全員帰り、嵐の前の静けさみたく、物音一つすらしなかった。
そんな教室に唯一存在する、音を発する「人物」が居た。自分の机に頬杖をつきながら、両目を瞑っており、耳を澄ませているようだった。
Leoneedという、幼馴染四人でのバンドをしている、ムードメーカーで優しい宮女の生徒――天馬咲希である。
(⋯⋯思ったよりも、音がしないなぁ。鳥とか校庭の子たちの声、するかと思ってたけ
ど⋯)
たった思いつきで、どんな音がするか気になったので、居残って耳を澄ませていたところだった。
咲希の思う通り、先程から物音一つすらしないのだ。
すると不意に咲希の頭に、入院していた頃のことがよぎった。音がない空間は、その時のことに、あまりにも似ていた。
(なんか⋯少し寂しいな⋯)
不安になり、瞳を開ける。周りには、夕焼け色の教室だけが残っていた。
「⋯瑞希ちゃん⋯」
自身の片割れの名を呼んでしまう。
すると、出入り口の方で軽い靴の音がしたとともに、
「どーしたのっ!さ〜きちゃんっ」
と、明るめで甘いトーンの声が響いた。
振り向いた咲希の瞳には、淡い桜色のサイドテールを揺らす、瑞希の姿が映っていた。
優しさだけできっと Leoneed
「へぇ〜!そんなことがあったんだ!」
汚れ一つない真っ白な病室のベッドの上、「天馬咲希」は、目をきらきらさせていた。
お見舞いに来た「星乃一歌」は、今日の中学校でのことや、バンド練習のことをを話していた。
「うん。特にきょうの志歩は、朝にお姉さんにすごく余計なお世話されたって言ってた よ」
「あはは!目に浮かぶね」
今話を交わしているこの2人は、同じ「Leoneed」というバンド活動をしており、幼馴染である。他にも、「望月穂波」や「日野森志歩」の2人とも、幼馴染であり、バンド仲間だ。
しかし、咲希は病弱で体調を崩しやすいため、今は入院していた。
「あ、それと、このラーメンのお店美味しいって、志歩が」
一歌は、自身のスマホを出し、咲希に見せる。
「あ〜!確かに、しほちゃん好きそう!」
咲希は鈴を転がしたような声で笑う。
一歌は頷くと、続ける。
「うん。だから穂波が、今度みんなで行きたいねって」
「あ⋯。うん、そうだね⋯」
咲希は、なぜか元気が無くなってしまったようで、少しだけ俯いてしまった。
「咲希⋯⋯?」
一歌は少し戸惑ったように、問いかける。
「えへへ⋯。あたし、そのときにみんなのそばに居られるのかなぁ?ってね⋯⋯」