耳を澄ますと 瑞咲希(推しカプ注)
宮女での長く、それでもとてもかけがえの無い1日が終わった。クラスメイトは全員帰り、嵐の前の静けさみたく、物音一つすらしなかった。
そんな教室に唯一存在する、音を発する「人物」が居た。自分の机に頬杖をつきながら、両目を瞑っており、耳を澄ませているようだった。
Leoneedという、幼馴染四人でのバンドをしている、ムードメーカーで優しい宮女の生徒――天馬咲希である。
(⋯⋯思ったよりも、音がしないなぁ。鳥とか校庭の子たちの声、するかと思ってたけ
ど⋯)
たった思いつきで、どんな音がするか気になったので、居残って耳を澄ませていたところだった。
咲希の思う通り、先程から物音一つすらしないのだ。
すると不意に咲希の頭に、入院していた頃のことがよぎった。音がない空間は、その時のことに、あまりにも似ていた。
(なんか⋯少し寂しいな⋯)
不安になり、瞳を開ける。周りには、夕焼け色の教室だけが残っていた。
「⋯瑞希ちゃん⋯」
自身の片割れの名を呼んでしまう。
すると、出入り口の方で軽い靴の音がしたとともに、
「どーしたのっ!さ〜きちゃんっ」
と、明るめで甘いトーンの声が響いた。
振り向いた咲希の瞳には、淡い桜色のサイドテールを揺らす、瑞希の姿が映っていた。
5/4/2026, 12:09:18 PM