既読がつかないメッセージ
「ごめんなさい」
送ったメッセージに、一向に既読はつかない。
世の中、謝っても許されないことが
あるんだって知った。
秋色
秋は、気温はちょうど良い。
服装も、厚過ぎず、薄すぎずで過ごしやすい。
しかし私は、秋が苦手だ。
虫が苦手だからだ。
奴らは暑さが去った後に、
のっそりと姿を表す。
そして夜中には大合唱をして、その存在感を周囲に知らしめる。
夕方の公園なんて行ってみろ、
蚊に噛まれて全身痒くてかなわない。
今一度言う、
私は秋が苦手だ。
しかし困ったことに、
石焼き芋は美味しいのである。
栗ご飯も美味い。
あー困った。
私は秋が苦手なのに、食べ物は美味しい。
もしも世界が終わるなら
もしも世界が終わるなら、
僕は何をするだろうって考えた。
しばらく考えたけど、
特に何も思いつかない。
家族や友人に挨拶するくらいかな。
あとはいつも通りの生活してそう。
幸せって、すぐ隣にあるもので、
何気ない日常が幸せなんだなと気づいた。
大きなあくびを1つ。
今日も元気に生きていきますか。
明日世界は終わるけど。
君と見上げる月…
濃い血と硝煙、薬品の臭い。
肉のこげた臭い。膿んだ臭い。
いつになったら、この戦争は終わるんだろう。
思っても、口に出してはいけない。
祖国に残してきた家族が酷い目にあってしまうから。
傷口が痛い。
白いモノが蠢いている。
包帯で塞がれた片目じゃない方の目が、
夜空に浮かぶ月を見つけた。
もう自分は、家族のもとにも、君のもとにも戻ることはできないだろう。
異国の地で見上げた月は、
あの日、君と見た月そのままで。
君と見上げた月も、異国の月も、同じで綺麗だな。
彼は何かを呟いたあと、静かに目を閉じた。
仲間になれなくて
機嫌よく挨拶。
にこやかに対応。
誠実に謝って、皆んなで飲み会。
顔の表面はコロコロと変わるのに、
心は何も感じていない。
仮面を使い分けて、笑った顔、怒った顔。
今目の前にいる同僚だって、
きっと何個も仮面を使い分けて生きているんだろう。人間はそういう生き物だ。
右手で握手して、左手で殺し合う。
そんな矛盾が、平気な顔でできる生き物。
きっとみんな、誰も仲間になれなくて、
でも心は仲間を探しているんだろう。
仮面を被ったままじゃ、仲間なんてできるわけないのに。
わかりきったことなのに。