どんぞこの楽土で、もうずっと血溜まりのなかに埋もれている。あのお方が笑いながらおれを突き落としたその日から。
体に虫が這うような絶望と過ごしているが、大人しくしてりゃあのお方はときおり気紛れで褒美をくれる。
まやかしだ。所詮は夢だ。だがおれにとってはもうこれが唯一の希望なのだ。
所詮はまやかしのあの人の腕の中。
今日もおれは虚構のぬくもりに包まれて、あの人の腕の中で眠る。
ぬくい。まるで本物みたいだ。
お題「たったひとつの希望」 おまねむ
あの人のすべてを飲む込むような瞳が恐ろしくて、遠くへ逃げた。ずっと遠くのあの人が名前すら知らないだろう小さな街へ。
これできっと大丈夫だと一時期は安寧を手に入れた。
だがある日、ふと空を見上げると、雲間の隙間から、あの人の瞳がこちらをじっと見下げているのに、気づいた……。
そこで阿呆なおれはようやく悟った。
あの人の瞳からはただの1人も逃げられやしないのだ。
こんな遠くの街へ、すべてを投げ出して逃げてきたのに、すべては徒労の泡となって消えた。
もうこの部屋のカーテンを開けることはできないだろう。あの人と目が合ってしまうから。
お題「遠くの街へ」 おまねむ
大きくなったあの人が、ちっぽけになったすべてを踏みつぶす様をニュース中継で見ていた
今はふたつ隣の町を歩いているところらしい 大きくなっても、あの人の所作は変わらずに美しいな
おそらく最後の食事になると思われる焦げたチョコのトーストをかじった すこしにがい
じきにわたしの番も来るだろう
お題「小さな命」 おまねむ
きみだけが特別なんだ きみだけを愛しているよとおれに囁くあの人が
求められれば誰にでもそうのたまうことをおれが1番よく知っている
あんたの特別にはなんの価値も無いのだ しかし誰もがそれを切望せずにはいられないのだ 滑稽だとお思いですか ええそうでしょうね
お題「i love you」 おまねむ
太陽のようなんだ! わたしのかみさまは、まさしく
ぽかぽかと暖かく、優しく感じられる瞬間がある
その気持ちのままに近づくと、あっという間もなく焼き付いてしまって、「あたたかいなぁ」という気持ちのままに死ねるのだ
たすけてと言っても焼けこげた手を離して貰えずに死ねるのだ
羨ましいだろう でもわたしの順番はまだ遠い かみさまが言うにはあと2587426974236887412669877人待ちらしい
難儀なものだ
お題「太陽のような」 おまねむ