甘いお菓子

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10/14/2025, 1:45:13 PM



梨を剥きましょう
家族がいっぱい食べてくれるから
いくらでも剥くわ

一口サイズにしたほうがいっぱい食べてくれるから
六等分に切って、それをさらに半分にするの

でもね、実家の母が時々美味しい梨を
わざわざ遠くまで買いに行って
それを届けてくれる

母にとつて私は
いまも剥くのを面倒くさがっていた末っ子のまま
皮を剥いた梨をタッパーに入れて持ってきてくれる

剥いた梨を食べるのは私
剥いてないのは私の家族の分

お母さん
もう、梨を剥くのなんて
あっという間にできちゃうんだよ私

だけど、内緒にしておくわ
いつまでもあなたの末っ子でいたいから

10/13/2025, 3:39:46 PM

LaLaLa Goodbye

何なら鼻歌でも歌って
背筋をピンとのばして
私は貴方に背中をむける

喜んで欲しくて
いつも理解があるふりをして

もう長いことそれが「自分」だと思っていたけど
ある日、遠い昔の私が
「がんばったね。もういいよ」
と声をかけた

私は貴方に出会う前の自分に戻るの
久しぶりの「自分」はまだぎこちなさが残るけど
心は信じられないほど満たされ、だけど軽くなった

軽やかに鼻歌歌って
背筋をのばして、下手っぴなスキップなんかして
振り返らないで行くわ

さようなら、貴方
さようなら、がんばったわたし







10/11/2025, 4:54:25 PM

未知の交差点

未知の交差点の真ん中に佇んているあなたは自由だ

強い風に押されて流されそうになっても
誰かが「こっちにおいで」とあなたの腕を引っ張っても
行き交う人があなたのことを邪魔そうに睨んでも

どうか、足を踏ん張ってそこに留まって
好きなだけ時間をかけて
行くべき方向を決めればいい

忘れないで、あなたはどこにだって行ける

10/10/2025, 12:34:56 PM

一輪のコスモス

コスモスを一輪あげる 
一輪だけでこめんね
だけど、一番可愛いのを探してきたよ
君とおんなじ

そこには美しく咲き誇るコスモスがたくさんあったんだ
だけど、僕はそれじゃあ嫌だったんだ
だから、コスモス畑を掻き分けて奥へ奥へと入ったんだ
そうして見つけたよ
ひっそりと、美しさを放つ一輪を

ねえ、見つけた僕を褒めてくれるかい?
あの時、君を見つめる僕にそっと微笑みかけてくれたみたいに

10/9/2025, 3:14:26 PM

秋恋

秋を恋しくおもうのは、日差しがまだ柔らかく、木々の葉は赤く燃えていたから。

今、わたしはひとり、今にも雪が舞い散りそうな空の下で、あの人に囚われている。もう、葉はすべて木から落ちてしまい、疲れて眠るように地面に張りついている。

あの秋のわたしは、銀杏の木の下のベンチに座り、「まだ温かい飲み物は早かったね」なんてあの人と言いながら、缶コーヒーを両手で転がしていた。

そんなわたしたちの目の前を、黄色い銀杏の葉がヒラヒラと落ちていった。わたしはそれをつかもうとしたけれど、葉はするりとわたしの手を避けるように落ちていった。

「むずかしいね」と照れ笑いしてあの人を見つめたけれど、彼はただ、落ちた葉を静かに見つめていた。

わたしは呑気に、次に落ちてくる葉があれば、必ずつかんでやろうと意気込んでいた。すべての葉が落ちた時の寂しさになんて気づかないまま。




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