星を見る。夜空の下で。美しいとすら感じる。その中で飲むホットココアは美味しい。
流れ星が駈け落ちていく。流星のかけらはどこへ行くのだろう。どこに墜ちていくのだろう。
誰にも分からないとしても、そこに思いを馳せたりする。墜ちていく星はどんな物語を秘めて、地上へと墜ちていくのだろうか。
ただの無機質な塊だとしても、そこに秘められた物語を想像の中で紡ぎ出していく。
流れた軌跡はどのようなものなのか。真実は不明の中だとしても、想像の軌跡は描けるのだろう。
燃え尽きる前の燐然とした美しさ。それに心を打たれていく。星にちなんだクッキーはホットココアとの相性が良くて、これも美味しい。
冬空の天体観測に思いを馳せる。月面のクレーターを見ながらーー。
ーー星のかけらはどこにあるのだろうか。どれだけ探しても、見つかることは無い。
地上に墜ちているものだろうか。それとも、燃え尽きたまま宇宙を漂っているのだろうか。
真相は誰にも分からないだろう。燃え尽きる星自身さえもーー。
リンリンと電話が鳴る。大切の時間に。なのに、電話の表示はフリーダイヤル。
大切な時間を邪魔しておいて、フリーダイヤルとは。拒否して正解である。
赤い表示。それは迷惑電話の表示。出る価値はあるのだろうか。価値は無い。
だから切る。こちらに掛けてくるほうが悪い。カット対象。文句は言えるなら言え。
できないことを知っている。同じ土俵に立つわけない。立たないことで勝利を得る。それが賢いやり方だ。
と言うか、こちらから掛けるなら別に良い。しかし、受ける側にはなりたくない。
それが本音である。嗚呼、それゆえに電話番には向かないのだろう。自分の欠点を知る。
フリーダイヤルは迷惑だが、自分を知れる切っ掛けになったのは良いこと。
リンリンと鳴らさなければいい。バイブレーション機能。それで振動させればいいか。
どうせ、気にしない。掛けてくる友人はLINEで掛けてくるのだからーー。
風。風が吹いている。追い風だろうか。それとも、向かい風だろうか。はたまた、季節外れの狂い風なのかもしれない。
向かい風ならば立ち塞がっている。歩みも遅くなってしまう。彼の0歩みも、彼女の歩みも。
追い風ならばどんなに良いことだろう。彼や彼女の背中を押してくれる。
狂い風ならば、的外れの方向に吹いていくのだろう。どこへ向かうかは狂い風次第ということか。
繰り返し吹いている。吹き荒れるのだろうか。吹き止むと良いのだが。
雨も降るならば最悪だ。冬の雨は冷たい。冷たさをただ増していく。
彼も彼女も凍えたくはないのだろう。出るとしても防寒はしっかりとしているはず。風邪を引きたくは無いから。
場所を問わず吹いている。広い道も狭い道も関係なく。
風は吹いていく。時代を巻き込んでいく。流れ着く先はどこなのか。彼も彼女もそれは分からない。知ることはできない。ただ、新時代へと向かうのみーー。
君と一緒にいたいと思った。
毛並みが可愛らしい君と一緒に。
抱きしめたら、モフモフしているのだろう。首に巻けたら生きているマフラーになるんじゃないかな。
眠っている君の姿も可愛らしい。いつまでも眺めていられそうになる。
鶏を狩ろうと飛び跳ねる君の姿は、とても凜々しく思えてくる。
でも、鶏の代わりに君にあげたいのはベリーだろう。
ベリーの赤い実を食べる君の姿はとても可愛らしい。
しかし、君は決して懐くことは無いのだろう。孤高な姿も好きだ。
君のために、君の顔を模したオブジェを建築しよう。
オブジェを君の家にしよう。君が喜んでくれるかは分からないけれど。
一人だと寂しく無いように、色違いの君の仲間も招待しよう。
大きなオブジェの家を建てて、走り回れるようにしよう。
君の苦手な狼は別の所にいてもらおう。オブジェの外にね。骨で懐かせてから。
そうすれば、君に対する私の想いは伝わるだろうか。伝わらないのかもしれない。けれども、私はそれでも構わない。
私の自己満足だとしても、君のことを想えるならば、その苦労は楽なものだ。
私の可愛いキツネさん。あなたのために安全な場所を設けよう。
狼に追われることの無い場所へと。あなたを誘おう。
そこがあなたの安全地帯になるのだと信じてーー。
ーー彼の想いは伝わったのか。それとも、伝わらなかったのか。それは誰にも分からない。
けれど、そこには満足そうな表情をした彼の姿がそこにあるのであったーー。
冬の時は晴れている日が多い。雨が降ったのはいつ頃だったろうか。
太陽は静かに地上を照らす。やわらかな光を放ちながら。
雲一つ無い空は澄み渡っていて。世界の空は蒼で塗られたかのよう。
夕方になれば寒さは厳しくなるけれど。それまでに家に帰ればいい。
猫にとって日向ぼっこ日和なのだろうか。車の上のボンネットで包まりながら。
冷たい空気だとしても、冬晴れの下にいると自分という存在がはっきりする。そんな感覚を感じることがある。
夏だと自分の存在が曖昧になってしまう感じがするから。はっきりする冬が好き。
そう昔読んだ小説の中で彼女が言っていたような気がする。もう何年も前のことだろうか。
懐かしい。そう感じながら、缶コーヒーを飲んでいく。午後をどう過ごそうかと考えながら。
微睡みの中でシャキっとする感覚。それが好きで冬晴れの下、コーヒーを飲んでいるのかもしれないーー。
ーー冬晴れの時は暖かく。微睡みを誘うかのように眠りについていく。
午後の昼寝は最高だと感じながらーー。