恋を叶えたい少年の話
《ある儀式で幽霊を呼び出すと、何でも願いを叶えてくれる》
僕の学校でよく噂される話だ
実際に試した人はいないようだ
幽霊が怖いらしい
僕は今日、その《ある儀式》とやらの方法を知り
幽霊を呼び出すことにした
願うことは決まっている
彼女がほしいんだ
「来い・・・・・・!」
僕はそう叫び、儀式を終えた
『やあ!こんにちは少年!
君の願いを言ってごらん?』
僕は目の前に出てきた、顔が整っている幽霊にそう聞かれ
「彼女がほしい」と願った
幽霊は怖いこと一つ言わず、OKとだけ言ってくれた
本当は幽霊なんて怖くないのかもしれない
『そうだ、代償を決めなくちゃ』
・・・いや、少しだけ怖いのかもしれない
代償なんて、きっと心臓一つだとか
そういう怖いものに違いない
『僕と、友達になってほしいんだ
君に、彼女というものができるまででいい』
そんな代償で願いが叶うなら別にいい
僕は幽霊と友達になった
きっとこれが、人生が彩る友達との出会いなんて
あのときの僕は考えてもいなかっただろう
初めて人と離れるということを知った少年
“明日にはここを出るからね”
一緒に冒険をしていた相棒の《ティア》。
女の子からは感じられない威力を持ち、僕よりも圧倒的に強い
ティアにいつも助けられてばかりだった。
長い年月が経ち、ティアは僕に言った言葉
僕はティアが言った言葉の意味がよくわからなかった
きっと、帰ってくるなんて思っていた
あの時言葉の意味を知っていて
それで、ティアの足を止めていたら
きっと今の僕は、一人孤独の仲
泣いていないんだろうな。
病院に入院し続けている女の子の話
季節は
暑さが印象的な夏から
気付けば真っ白な粒がふわふわ飛ぶ
私の好きな冬に変わっていた
窓から見える公園で遊ぶ子供達
その子達によく元気をもらっている
ビビットカラーだった半袖から
淡いピンクや青で彩られた長袖の服
暖かそうで、とってもかわいい
そういえば、季節に変わり目には服を変える
《衣替え》は今頃だったんだ
いつも長袖です、真っ白な服だったから気づかなかったや
私も、
退院したら
あの子達みたいな可愛い服を
沢山着たいな
衣替えという文化を味わったことがない私なら
きっとあの子達よりもたのしく服選びで
時間かけちゃうだろうな
なんて、夢のまた夢だけれど
人間不信の女の子の話
「もっと、私の名前を呼んで?」
「いくらでも呼んで差し上げますよ」
君しか信じれなくて、
私は君にすがって
毎日そんなことを言い合っては朝日を待つ
ずっと、この幸せな時間が続けばいい
そんなの、誰が願った・・・?
彼女はこの世から姿を消した
これからは貴女の名を呼んでも
誰も喜ばない
彼女が人間不信になったのは、周りに嫌な噂をされ
暴力や罵倒など、散々な事をされたから
僕は彼女を信じ、求めるこもの全てを渡してきた
耐えきれなかったのか
ああ、そうなんだね
「・・・・・・」
貴女の名前を
声がかれるまで叫んで呼べたら
どれだけよかったのか
今の自分は弱虫だ
人間を信じられなくなった人の話
ある日を境に、僕は《嫌われ者》なった
変な噂が流れて
僕を殺したいとまで思う人も出てきた
その状況が、すごく怖かった
真っ暗な人の波に
いつも流されては苦しむ僕がいる
「僕だけは、貴方の味方です」
そう言ってくれた《光》がいた
そいつもまた人間で、信じていいのかわからなかった
だけれど君は
「ほら、手を取って
貴方に似合うのはこんな世界じゃない」
少しだけ疑っていたけど
君はいつも、ずっと
僕の味方でいてくれた
ああ
今回は安心して人間を信じることができるよ
ありがとう
今は亡きやわらかな光の君へ