ここ1週間、残業三昧。
家に帰って布団に倒れ込む。
重力をずっしり感じる。
疲労感が絶対物として見えるようだ。
はぁ…
やりがいは感じている。
それなりの地位も手に入れた。
毎日充実もしている。
でも、このままでいいのだろうか。
いや、いいのだろう。
でも、もっとすごいこもを成し遂げられる気がする。
いや、やりたいことなんてないし…
でも、、、
ふと見上げた先には窓越しに映る自分の顔。
10代の希望に溢れた日のあたしに
今のあたしは誇れるだろうか。
ガラス越しに見える自身の目の奥には
なんとも表現できぬ靄があっだ。
「視線の先には」
「いてててて…」
ヒールで靴擦れした足を擦る。
来週のデートに備え、新しい靴で出かけてみたが、
案の定、痛い思いをしていた。
柄にもなくヒールなんて履くもんじゃなかった。
たまには、女らしい姿を見せたくて、
シルバーの繊細な7センチヒールを買った。
うーん。若い頃はこんなの毎日履いていたのに…
知らぬ間にできないことが一つ…。
この頃はおでこにシワも入るし、
スキンケアを油断すると何かしらのトラブルになる。
歳を取るってやだなぁ〜。
ぼぉっとベンチに座って休んでいると
ぽとりと落ちている1輪のハイビスカスが目に入った。
辺り一面にハイビスカスが咲き誇っている中で
唯一その子だけが地面に落ちていた。
なんだか悲しそうな、寂しそうな、
やりきれない顔に見えた。
同時に「私はまだ美しいわ!」
と強く主張している様にも見えた。
花が散る時、落ちる時、
自身の判断で散るのだろうか。
それとも、まわりに迷惑をかけないようにと
周囲から切り離されるのだろうか。
答えは調べてしまえば、すぐわかるのだろうが、
たとえ正解じゃなくとも、
私は、自身の判断で散るのではないかと思う。
気高く、自身の美を追求し、自ら命を終える。
大丈夫よ。散った後でも、
こうして私の心を揺さぶる貴女はとても美しい。
歳を取ると、若い頃みたいな美しさは、
すり減っていくけれど
経験や性格でまた姿、カタチが変わる。
自分次第で見え方は決まる。
自分らしく、今の自分に誇りを持って。
「 落下 」
東中野駅から徒歩7分1LDK。私の城に帰る。
ここ4月から2ヶ月間詰めていたプロジェクトが終わり、
祝のワインをあける。
デパ地下で買ってきた惣菜をひろげ、
今日は一人贅沢会の開催である。
こういう時間が何よりも至福である。
「将来ね〜…」
来年の3月から同棲を始める。
かと言って、結婚が決まっているわけではない。
互いのアパートの更新に合わせて、
一緒に住むことになった。
人と住む実感がわかない。
高校卒業と同時に山形から上京して、独り暮らしは15年目。
好きな時にご飯を食べ、
夜ふかししてアニメや小説に惚け、そんな毎日を繰り返してきた。
家の中には、コツコツと集めた北欧雑貨やインテリア。
観葉植物たち。15年の歴史を感じる。
このまま上手くいけば、彼と一緒にずっといるのだろう。
それは、何よりも嬉しいことだ。
私は彼こそが生涯を共にするパートナーだと直感している。
その反面、
彼といる未来のイメージが描ききれない。
いや。家族をつくるイメージと言った方が正しい。
彼との間に子どもを授かったりして、
親になったりするのだろうか?
あと5年もすれば、ごくごく普通に
いわゆる「幸せな家庭」を築いているのかもしれない。
…そんな風になりたいという気持ちと裏腹に
そうなりたくない自分もいる。
自分というカタチが変わってしまいそうで怖い。
ただ、今ここにいる私だって
いつかの私の未来なのだ。
そうやって、不安と期待を膨らませて
今日まで生きてきた。
自分は自分で変わることはない。
そう信じて明日を迎える準備をする。
「 未来 」
一週間位の暇があったら、
旅行に行き、美味しいものを食べて、
沢山の観光名所を周り、心身共にヘトヘトになる位
遊んでやるのになー。
何日かは、溜め込んだ小説、漫画、映画を観る。
デパ地下で惣菜を買い込んで
よれよれのパジャマのまま1日引き籠もるのだ。
大人になって、そんな時間取れりゃしない。
作ろうと思えば作れるのかしら?
「ないものねだり」
ご飯がおいしいとか、友達と遊ぶとか、
彼が隣にいるとか、仕事をするとか、
楽しんだり、疲れたり、へこんだり、感動したり、
そんな平穏な日々は当たり前じゃない。
すべてのモノに、人に、
優しくしましょう。
毎日が難しくとも、思い出した日だけでも。
「 平穏な日常 」