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「いてててて…」
ヒールで靴擦れした足を擦る。
来週のデートに備え、新しい靴で出かけてみたが、
案の定、痛い思いをしていた。

柄にもなくヒールなんて履くもんじゃなかった。
たまには、女らしい姿を見せたくて、
シルバーの繊細な7センチヒールを買った。

うーん。若い頃はこんなの毎日履いていたのに…
知らぬ間にできないことが一つ…。
この頃はおでこにシワも入るし、
スキンケアを油断すると何かしらのトラブルになる。
歳を取るってやだなぁ〜。

ぼぉっとベンチに座って休んでいると
ぽとりと落ちている1輪のハイビスカスが目に入った。
辺り一面にハイビスカスが咲き誇っている中で
唯一その子だけが地面に落ちていた。
なんだか悲しそうな、寂しそうな、
やりきれない顔に見えた。
同時に「私はまだ美しいわ!」
と強く主張している様にも見えた。

花が散る時、落ちる時、
自身の判断で散るのだろうか。
それとも、まわりに迷惑をかけないようにと
周囲から切り離されるのだろうか。

答えは調べてしまえば、すぐわかるのだろうが、
たとえ正解じゃなくとも、
私は、自身の判断で散るのではないかと思う。
気高く、自身の美を追求し、自ら命を終える。

大丈夫よ。散った後でも、
こうして私の心を揺さぶる貴女はとても美しい。

歳を取ると、若い頃みたいな美しさは、
すり減っていくけれど
経験や性格でまた姿、カタチが変わる。
自分次第で見え方は決まる。


自分らしく、今の自分に誇りを持って。




「 落下 」

6/18/2024, 10:59:50 AM