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6/18/2024, 10:59:50 AM



「いてててて…」
ヒールで靴擦れした足を擦る。
来週のデートに備え、新しい靴で出かけてみたが、
案の定、痛い思いをしていた。

柄にもなくヒールなんて履くもんじゃなかった。
たまには、女らしい姿を見せたくて、
シルバーの繊細な7センチヒールを買った。

うーん。若い頃はこんなの毎日履いていたのに…
知らぬ間にできないことが一つ…。
この頃はおでこにシワも入るし、
スキンケアを油断すると何かしらのトラブルになる。
歳を取るってやだなぁ〜。

ぼぉっとベンチに座って休んでいると
ぽとりと落ちている1輪のハイビスカスが目に入った。
辺り一面にハイビスカスが咲き誇っている中で
唯一その子だけが地面に落ちていた。
なんだか悲しそうな、寂しそうな、
やりきれない顔に見えた。
同時に「私はまだ美しいわ!」
と強く主張している様にも見えた。

花が散る時、落ちる時、
自身の判断で散るのだろうか。
それとも、まわりに迷惑をかけないようにと
周囲から切り離されるのだろうか。

答えは調べてしまえば、すぐわかるのだろうが、
たとえ正解じゃなくとも、
私は、自身の判断で散るのではないかと思う。
気高く、自身の美を追求し、自ら命を終える。

大丈夫よ。散った後でも、
こうして私の心を揺さぶる貴女はとても美しい。

歳を取ると、若い頃みたいな美しさは、
すり減っていくけれど
経験や性格でまた姿、カタチが変わる。
自分次第で見え方は決まる。


自分らしく、今の自分に誇りを持って。




「 落下 」

6/17/2024, 10:25:42 AM


東中野駅から徒歩7分1LDK。私の城に帰る。
ここ4月から2ヶ月間詰めていたプロジェクトが終わり、
祝のワインをあける。
デパ地下で買ってきた惣菜をひろげ、
今日は一人贅沢会の開催である。
こういう時間が何よりも至福である。

「将来ね〜…」

来年の3月から同棲を始める。
かと言って、結婚が決まっているわけではない。
互いのアパートの更新に合わせて、
一緒に住むことになった。

人と住む実感がわかない。
高校卒業と同時に山形から上京して、独り暮らしは15年目。
好きな時にご飯を食べ、
夜ふかししてアニメや小説に惚け、そんな毎日を繰り返してきた。

家の中には、コツコツと集めた北欧雑貨やインテリア。
観葉植物たち。15年の歴史を感じる。


このまま上手くいけば、彼と一緒にずっといるのだろう。
それは、何よりも嬉しいことだ。
私は彼こそが生涯を共にするパートナーだと直感している。

その反面、
彼といる未来のイメージが描ききれない。
いや。家族をつくるイメージと言った方が正しい。
彼との間に子どもを授かったりして、
親になったりするのだろうか?
あと5年もすれば、ごくごく普通に
いわゆる「幸せな家庭」を築いているのかもしれない。
…そんな風になりたいという気持ちと裏腹に
そうなりたくない自分もいる。

自分というカタチが変わってしまいそうで怖い。

ただ、今ここにいる私だって
いつかの私の未来なのだ。
そうやって、不安と期待を膨らませて
今日まで生きてきた。

自分は自分で変わることはない。
そう信じて明日を迎える準備をする。


「 未来 」

3/26/2024, 1:30:59 PM


一週間位の暇があったら、
旅行に行き、美味しいものを食べて、
沢山の観光名所を周り、心身共にヘトヘトになる位
遊んでやるのになー。
何日かは、溜め込んだ小説、漫画、映画を観る。
デパ地下で惣菜を買い込んで
よれよれのパジャマのまま1日引き籠もるのだ。

大人になって、そんな時間取れりゃしない。
作ろうと思えば作れるのかしら?


「ないものねだり」

3/11/2024, 12:13:03 PM


ご飯がおいしいとか、友達と遊ぶとか、
彼が隣にいるとか、仕事をするとか、

楽しんだり、疲れたり、へこんだり、感動したり、

そんな平穏な日々は当たり前じゃない。
すべてのモノに、人に、
優しくしましょう。
毎日が難しくとも、思い出した日だけでも。




「 平穏な日常 」

3/9/2024, 1:57:46 PM


金曜ロードショーで
3年前に流行った恋愛映画が放送されていた。

主人公達の甘くて、酸っぱい出会いや生活に
付き合いたての自分たちを重ねて、共感したっけ。

あいつは、映画や邦ロックが好きだった。
よく一緒にレイトショーを観に行ったし、
フェスにも二人で参加した。

今思えば、映画の好みも違うし、
私の音楽の楽しみ方は一人でじっくり味わう方だし、
好みが合う、気が合う はその程度のものだった。

それでも、彼と私は最強の二人だった。

ただ、一年がすぎる頃、些細なお互いの違いが気になり、
バランスが崩れ、不穏な空気が流れるようになった。


彼は今どこで何をしているだろう。
フェスで元気に走りまわるような女の子が
隣にいるのだろうか。
きっと、私ではなく、その子の方が
彼にとって良いと思う。


そんなことを考えながらぼーっとテレビを観ていると
つい1時間ほど前まで仲睦まじかった二人は
別々の道を選んでいた。




「 過ぎ去った日々 」

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