tiny love……直訳するとちっちゃな愛。
そんな小さな愛を向ける相手は誰だろうか。
むむむと十数秒考えた結果、かたつむりだろうという結論に達した。
忘れもしない二年前の六月。知り合いが飼っているかたつむりが小さな口をはむはむしているのをガラス越しに見て、ついキュンとしてしまったのだ。
かたつむりもなめくじも見かけたら「いるなぁ……」程度だったのが「おっ! いるいる〜」に変化した。
でもだからといってかたつむりグッズをこぞって買うことはしない。
そこまで好きでもない……本当にtiny love程度の感情でしかないのだから。
大好きな友達が遊びに来る。
だからおもてなしはちゃんとしなきゃね。
お菓子とジュースの準備よし!
すぐ遊べるようにゲーム機もソフトも準備OK!
快適な温度に湿度。素晴らしい!
いつ来るかな? もうすぐかな? 早く来ないかな?
わくわくが止まらないや!
居心地の良い空間で時間の許す限りいっぱい遊びたいな!
彼が誰かと話すたび、笑うたびにイライラしてしまう。
この気持ちの名前は嫉妬。
私の彼なのに。私だけの彼なのに。
そう思ってしまうのはたぶん良くないことだとわかってる。
だけどやっぱり彼の楽しそうな顔や嬉しそうな顔を見るたびに、彼を閉じ込めて私しか見えないようにしてしまおうかと考えてしまう。
そうでもしないと消えない焔なのだ。この嫉妬は。
だけどそれは最終手段。私しか幸せになれないということは充分にわかってる。
彼が幸せになれないのならするべきじゃない。私はそう強く決意している。
でもいつか胸に渦巻くこの焔は、その決意まで燃やし尽くして私の本性を解放してしまうかもしれない。
そうなってしまう前に、私は彼の前から姿を消すべきなのだろう。
本当に彼の幸せを願うのなら。
彼にとって私なんてただの友達。彼女でもなんでもない。
卒業と同時に友達が減るなんてよくある話なのだから彼はきっと気にも留めないはず。
だからそれでいい。
私では彼を幸せにできない。
ただそれだけの話なのだから。
少女はずっと問いていた。
楽園にはどんな生き物がいるのか、楽園ではずっと共にいられるのか……
何も言わぬ父にずっと問いていた。
楽園という心惹かれる場所への強い興味。
その終わらない問いは少女の命が尽き果てるまで続くことだろう。
あどけないその問いに答える者はこの世にもういないと知らぬまま。
§
元ネタはS◯und Horiz◯nの『エルの楽園[→side:E→]』です。
中二病真っ只中の頃にこの曲を含む楽園幻想物語組曲と出会い、衝撃を受けた記憶があります。
良かったらぜひ聴いてみてください。
彼の頭で揺れる青と白の羽根飾り。
彼の幼なじみでもある村の巫女が彼のために作ったもの。
赤子の頃、村へと流れついた彼にとってこの羽根飾りは村の一員である証なのだ。
そして彼を含め村人は誰も知らなかった。
石となった大樹がある禁忌の島に住んでいる呪われた人々。
外の世界の住民にはそう思われていることを。
そしてとある男を除き、世界の誰もが知らなかった。
大樹の奥深く……根っこの奥底におぞましいものがあることを。
そしてそれらを巡る戦いに全世界が巻き込まれることを誰一人として、知らない。
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元ネタは聖◯伝説4です。
悪い意味で当時は話題になりましたが……まあ、曲とグラフィックはとても良かったのでもし興味があれば調べてみてください。