「聞いてよ! 今日、こんなことがあったの!
隣の男子がさ ―― 」
「えー? マジ? 逆にすごいね!
あそういえばこの前、たぶん同じ男子だと思うんだけど――」
帰宅ラッシュで混み合う電車の中でマシンガントークをする女子高生たちの会話に聞き耳を立てたり立てなかったりしつつ、俺はスマホで調べ物をしていた。
しかしキャッキャキャッキャと楽しげな声についつい手が止まる。あと話の中に出てくる男子が中々無茶しててちょっとハラハラしてしまう。
クラスメイトの玉子焼を食べ比べしたり、廊下を歩く時は逆立ちだったり……とてもその、愉快だとは思う。
すげーなその男子……と思っていると電車が駅に着き、女子高生たちが降りていった。
台風が過ぎ去っていったかのように静かになった車内で、ふとこんな会話が聞こえてきた。
「……あのさ、さっきの女子高生が言ってた男子って、もしかしたらうちの弟かも……」
「……マジで?」
声の主はどこにいるのかわからなかったが、なんというか……世間は狭いなと思った瞬間だった。
すやすやと眠る君。
そんな君の頭をそっと撫でると、君はくすぐったそうに身をよじる。
それでも君は起きることはない。君の眠りを妨げるものはここにはいないのだから。
静かすぎるこの場所で僕はずっと君に子守唄を歌おう。
いつかひとりきりで目覚めてしまう君。
せめて目覚めた時に美しい景色と君のための歌が君を祝福してくれるように祈りを込めて歌うよ。
そして僕は全ての感情から繭のように君を守ろう。
僕が朽ちても僕の一番大切な人は君なのだから。
§
元ネタは『アクアテラリウム』という楽曲です。
『凪◯あすから』の1クール目のEDでもあります。
とても透明感のある歌なので良かったらぜひ聴いてみてください。
Red,Green,Blue……光の三原色の並び順であると共にポケ◯ンの発売順の並びでもある。
まあさすがに英語で書かれていたら光の三原色の方をすぐ思いつくだろうけど。
それはさておき、この三色の光があれば黒以外の全ての色が光で表現できるらしい。
私としては「ほんとかなあ……」という思いがあるのだが、まあ、そうなるのであろう。
……こういう疑問が生じた時、なんでもかんでも鵜呑みにするのではなくて実験してみるのが賢い選択だと思うのだが、いかんせんめんどくさい。
そういう実験キットとかありそうだが……おそらく高いだろう。
知識欲を満たすためだけに買うのもなぁ……とも思う。
まあただどうにか理由をつけて買うのを拒否しているだけかもしれないが。
マスクのフィルター越しに吸う空気は暑く、また吐く息のせいもあり湿気がすごい。
だが少しでも清浄な空気を吸いたいから多少の暑苦しさは我慢だ我慢。
本音は今すぐにでもマスクを取りたいけど、取ってしまったら私の鼻が死ぬ。
うう……ブタクサやヨモギなんて大っキライだ!
私は空気みたいな人。
周りの景色に溶け込むのが得意。
そのせいなのか存在が希薄で、目の前にいるのに探されることもしょっちゅう。
だから透明人間と陰口を叩かれることもしばしば。
だけど私は怒らない。
仲間になれなくても、話を振られなくても、人と一緒にいるだけで楽しいもの。
誰かと誰かが話している声、一人で笑っている声、良いものを見て感極まる声。
どんな声でも、どんな感情でも、私は楽しい。
だってその色に染まれるような気がするから。