その日、世界というものは存外明るいのだと知った。
建物内の照明もいつもよりきらきらと煌めいてるように感じてちょっとテンションが上がった。
外に出たら町の人や植物、建物にガードレールや横断歩道までいつもより明るく見える。
……明るすぎて眩しいほどなんだけど!?
夏の直射日光やばい! 道路の白線発光してる!
日に当たるもの全て輝いてる!
うぅ……眩しくてまともに目を開けてられない……
薄目で帰るしかないのか……絶対変な顔してるだろうけど……
はぁ……まさか瞳孔をかっぴらく目薬がこんなにも凶悪な性能してるなんて……
正直もうこりごりだけど、また半年後行かなきゃいけないんだよね……
あーあ、今から憂鬱だ……
ここはどこだろう。真っ暗闇で誰もいなくて、呼びかけても誰も返事をしてくれない。
旅の相棒の名前を呼んでみても僕の声が闇に吸い込まれていくだけだ。
だんだんと心細くなってきたけど、それでも諦めずに呼びかけていると前から相棒が、彼が歩いてきた。
嬉しくなって駆け寄った瞬間、彼が血を吐き出して倒れた。
とっさに彼を支えようとしたけど、体格と身長差から支えきれずに彼と共に倒れてしまった。
僕は声をかけながら彼を揺さぶるけど、彼は動かないし喋りもしない。……むしろ、どんどん冷たくなっていく。
「やだっ! やだぁ……! ひとりに……っ、僕をひとりにしないで!
お願いだから……、起きてよぉ……」
泣きながら揺さぶっていると、どこからか僕の名を呼ぶ声がする。
それがひときわハッキリ聞こえた瞬間、僕の目が覚めた。
さっきのは夢だったんだと息を吐いて安心していると心配そうに彼が声をかけてきた。
「すごい魘されてたが……大丈夫か?」
「……ねえ、座って」
「は?」
「いいから!」
困惑顔の彼だったけど僕の言う通りに座り、僕は彼の膝の上に座って胸に耳を当てる。
ドクン、ドクン、と熱い鼓動が聞こえる。
その音を聞いていると、ああ彼は生きているんだと無性に喜びを感じて、さっきまで荒れ狂っていた心が静かに凪いでいく。
「怖い夢でも見た……んだよな。
お前の行動から察するに……俺が死ぬ夢とかか?」
彼の言葉には答えずに黙っていたら彼はそれを図星だと受け取り、ククッと笑った。
「いつもはしっかりしてんのに、やっぱガキだな」
「ガキじゃない。もう立派な十歳だもん。それに、笑い事なんかじゃないし……」
「そーかそーか。だが俺は嬉しいぜ?
お前の年相応なところ見られて、な」
彼は僕をギュッと抱きしめて僕の耳元で囁いた。
「大丈夫。俺は死なねえよ。つか俺がお前を置いて逝くわけねえだろ」
その言葉が嬉しくて、僕は自然と笑顔で頷いていた。
彼ならこの言葉を嘘にはしない。
誰に何と言われようと僕は心からそう思っている。
俺は今、おそらく人生最大の修羅場を迎えている気がする。
某北の大地の有名菓子店のバターサンドを通販で買って、それが今日届いたのだ。もちろん自分のお小遣いで。
このバターサンドは家族みんなが大好物だからあっという間になくなる。
でもどうしても一人でたくさん食べたい俺は十個入りを買って独り占めしようと思ったのに……!
なんで! タイミング悪く! 姉貴が! ノックもせずに!
入ってくるんだ!
しかも今まさに食べようとした瞬間に!
わざわざ友達に頼み込んで届け先住所もそこにしたのに! 努力が水の泡じゃないか!
姉貴はわっるい笑みを浮かべて俺を見てる……
俺はただバターサンドをたくさん食べたかっただけなのに、どうしてこんな思いをしなければならないんだ!
くそーー! 姉貴のバカヤローーー!!
……結局バターサンド八個も奪わ……献上して両親と兄貴には内緒ということで手打ちとなった。
姉貴の悪魔フェイスとホクホク顔が忘れられない……
うぅ……俺のバターサンド……
高校生になったら一人暮らししてたくさん食ってやるからな!
僕は疑問に思っている。
虹はどこから出るのだろう……と。
お母さんやお父さんに聞いても小学校の先生に聞いても、わからないとか水滴の反射とか難しいことを言われて僕はちょっとうんざりしている。
だから僕は夏休みの自由研究で虹について調べることにした。
そしてついでに虹のはじまりを探して町内をくまなく歩くつもり。
虹のはじまりはきっとカーテンみたいになってるはずだから見つけて写真を撮るんだ。
あ、もしかしたらどこかに虹発生装置があるかもしれないからそれも探してみよう。
いろいろ忙しい夏休みになりそうだけど、頑張るぞ!
推しの存在は誰が何と言おうと心のオアシスだ。
推しがいるだけで生活も人生も彩り豊かになる。
推しのために生活を改める人もいれば、習い事を始める人もいる。
推しを中心とした創作を作る人もいれば、推しを神格化して神棚のようなものを作ってしまう人もいる。
もちろん、誰にも教えず知られずひっそりと推しを愛でている人もいる。
推しは多ければ多いほど良いという人もいれば、唯一神の如くただ一人の推しが好きな人もいる。
誰かが同じ推しを好きなことに喜びを覚える人もいれば、怒りを覚える人もいる。
まさに多種多様でおもしろい。
かくいう私も、推しをカッコよく描きたいと強く思ったので絵の練習中である。
しばらくは脳内イメージと自分の絵のギャップに苦しむ日々が続くだろう。
それでも私はめげない。
推しをカッコよく美しく上手に描きたいから!