この前、ドールを自作した。
私の頭の中にいるキャラクターをリアルでも感じたくなったからだ。
頭も体も髪も顔のパーツも服も何もかもをSe◯iaで買った。
百均でドールが自作出来るとは数年前の自分なら信じなかっただろう。
Ser◯aすごい。
初めてのドール作成は少し大変だったが中々納得いく出来になった。
部屋の目立つところに置いておき、それを眺めるのが日々の小さな幸せになっている。
しかしドールもひとりぼっちでは寂しいだろうから、もう一体作ろうかと密かに考えている。
だが私のことだ。時が経てばあの子もこの子も作りたいとなっていき、ドールたちも賑やかになっていくのだろう。
そう考えるとちょっと楽しい。
まあその前に二体目を誰にするのかを決めなければならないが。
あたしの近くに春はあるの、
だって道ばたにたんぽぽ、いつも行く公園につくし、
あたしの家のプランターにはチューリップがたくさん咲いてるの!
ちょうちょだって飛んでるわ!
家の庭にある桜はちょーっとだけ咲いてるけど、お花見するのにはまだ全然。
早く満開になればいいのにって思ってると、お母さんがはるらんまんねって嬉しそうに言ったの。
よくわかんなかったから意味を聞いたら春のお花がいっぱい咲いてるっていうことだって。
漢字で書いたら春爛漫とも教えてくれたけど……春はともかく後の二つが少し難しすぎるわ。六年生になったら書けるようになれるかしら?
そもそも春らんまんって書いた方があたしはかわいいと思うのだけど、漢字で書けたらかっこいいのは確かよね。
まあでも、そんなこと今はいいわ。
せっかくの春だもの。たくさんお外で遊びましょ!
そしてまた新しい春を見つけるの!
「七色に光るものってレア感ある気がしないかね?」
原稿用紙をなぜか太陽にかざしながら先輩が呟く。
珍しく文芸部員らしい創作活動しているなあと思っていたのに、この先輩はすぐ飽きたらしい。
先輩は私が反応してないのにも関わらず語っていく。
「アプリのガチャのSRとかURとかの演出、ガチャ石も七色、つまりは虹色のものが多いんだよ。
やっぱり人類は虹に惹かれるものがあるのかねぇ?」
「バカなこと言ってないで文芸部員らしい活動してください」
私がそう言うと先輩はあっはっはと大笑いしてから楽しそうに腕組みした。
「うむ、君はいつだって辛辣だね!
まあでも考えてみたまえよ。虹というのは太陽光が水滴や鏡などに反射して七色に見える現象だ。
色が分かれているのは光の波長がそれぞれ異なっていて、同じように屈折率も」
「結論を言ってください」
先輩はむー……と唸りながら目を閉じ難しそうな顔をして何か考えるような仕草をした。
この人きっと言いながら結論を考える気だったな……?
しばらくして結論がまとまったのか先輩が目を開ける。
「……空に架かる虹は気象条件が限られる。そこから転じてレアだという認識があるのではないかと私は思うのだよ。
君も虹を見たらテンション上がるだろう?」
「……まあ、多少は」
「うむ、そうだよね!」
先輩は満足げに頷いてまた原稿用紙を太陽にかざす。
創作しないんだ……と思うけど、こっちの方がなんだか先輩らしい。
それでもやっぱり文芸部員らしいことはしてほしいけども。
十年ちょっと前のとある大雪の日。
どうしても東京に行かねばならない用事があってギリギリ動いてた新幹線に乗った。
車窓は一面の雪景色。こんなに真っ白なのは初めて。
居眠りして起きてもまだ東京には着いてない。
途中、車内アナウンスで『お客様の中に、お医者様はおられませんか』を聞いて(ガチで言うんだ……)と思ったり。
大変だったけど、楽しかった旅の記憶のほんの一部。
私は今、猛烈に後悔している。
……完食できたけど、あの一口は食べるんじゃなかった……!
家族が残した肉団子。かなりお腹いっぱいだったけどもったいない精神が働いて頑張っちゃったあの一口。
それがトドメとなってお腹を壊すなんて!
美味しかったけど、美味しかったんだけど、もう二度と満腹状態では頑張らないでおこう……
私のお腹のためにも!
……まあ、いつかはこんなことも忘れてまた頑張っちゃってまた後悔するんだろうね……