英語のquestionを見るとリスニングを思い出す。
(何言ってるのかわからねー……)からの『Question』で(何聞かれてるのかわからねー……)の絶望。
選択肢は全て勘。当たればラッキーである。
言語自体に興味がないわけではないのだが、なぜか頭に入ってこないのだ。
ゲームや漫画に出てくるような英単語はしっかり覚えるのに。
不思議だなー。
『指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます。指切った!』
これを聞く度に思う。
物騒なフレーズだよなあと。
げんまんは漢字表記で拳万……拳で一万回殴られるということだそうだ。
約束するために指を切って、嘘をついたら拳で一万回殴り、あげくの果てに針を千本飲ます……
そうして交わした約束はいったいどれほどのものだったのだろうか。
指を切るだけの価値はあったのだろうか。
まあ指切りの起源が江戸時代の遊女からだそうなのでそれくらいの価値の重い思いがその人にはあったのだろうな。
ひらりひらりと軽やかに攻撃を避け続けるやつらに私はイラついて思わず画面に向かって悪態をつく。
こいつらさえ倒せれば……! と気持ちは焦り、コマンドを入力する手に力が入る。
当たれ当たれと祈るも、それも虚しくひらりと身をかわされる。
そして画面には『はぐ◯メタルたちは 逃げ出した!』の文字……
くそー! はぐメタとメタキンが一緒に出たのに!
つーかみかわし率高すぎだろぉおお!
なんでこっちの攻撃当たらなかったんだよおぉおお!
……はぁ、めんどいけど地道にレベル上げしよ……
勉強中コンコンと控えめなノックの音がした。
たぶん妹だろうな〜、と思いながらガチャリとドアを開けるも誰もいない。
何かドアに当たった? それともまた妹のイタズラ?
でもドア周辺に何もないからとりあえず妹を呼ぶと「今むりー! ちょっと待ってー!」という声が居間から聞こえた。
居間を覗くと妹が4vs4のイカした対戦ゲームをしていた。
残り時間は一分を切っていてしかもかなり白熱している。
この状態ではプレイを中断して私の部屋にノックして戻るなんてできない。
じゃあお母さん? と思ったけど、お母さんは晩ごはんの用意をしてるし、何より私を呼ぶ時はノックと共に声をかけるはず。
そしてお父さんは今外出中……
……うん。ノックの音なんて気のせいだったかも!
そうそう空耳よ空耳!
このイタズラ成功みたいな笑い声も空耳!
誰かしら? なんて考えちゃダメなのよ!
『我は草花の守護者(ガーディアン)! 大地(ガイア)に宿る命よ、今が芽吹きのとき!
あの邪悪なる者を迎え撃て!』
……うーん、なんかパッとしないなあ……
うまいことこう、カッコいい呪文詠唱を考えたいけど言葉の組み合わせがしっくりこないんだよね。
こういうのは私が中二とかそういうのは関係なくて、たぶんセンスの問題。
この私のセンスが悪いなんてことはないからもっと良く考えればすごく良いものができるはず。
草花っていうのは外せないからそれを軸に考えて……
よし。こういうのでどうだろう。
『我は草花の守護神(ガーディアン)! この聖域(サンクチュアリ)に眠る命よ、これまで踏みにじられた憎悪を糧に今こそ萌え出るとき!
邪悪なる侵入者を絞め殺せ!』
……うんうん、この方がカッコいい!
よし、この調子でドンドン書くぞ〜!
そしていつか私の作った呪文詠唱の本を出すんだ!
こんなにカッコいいんだからきっと爆売れするぞ〜!