小高い丘にある遺跡を歩いていたら急な雨に降られ、屋根のあるところに身を寄せる。
しばらくその場で時間を潰し、雨がやんだのを見計らって外に出ると思わず息を飲んだ。
そこには大きな虹が架かっていて、こんなにすごいのを見たのはいつぶりだろうとつい思ってしまうほどだった。
すると後ろからすごいすごい! と子どものはしゃぐ声が聞こえた。
振り返ると顔のよく似た男の子と女の子が目をキラキラと輝かせて虹を食い入るように見ていた。
双子だろうか? しかし男女とは少し珍しいな。
この辺りの村の子だろうか。
そんなにしっかり彼らを見ていたわけではなかったが、俺の視線に気づいたのか二人が同時に俺の方を向いた。
そして不思議そうに首を傾げ、二人で何かこそこそ会話した後、女の子が俺に声をかけた。
「あ、あの……旅人さん、ですか?」
「ああ。そうだよ」
「わぁ……! あの、どうして旅をしているの?」
旅の目的か……と思案する。
いろんな人と出会うのは楽しい。だがそれ以上に好きなのはやはり……
「まだ見ぬ景色を見たいから、だな」
そう言うと男の子が虹を指差して、あれもそうなの!? と興奮気味に話す。
俺が頷くと男の子も女の子も虹を見た時と同じくらい、いやそれ以上に目を輝かせ俺にあれこれ質問してきた。
そして別れ際に自分たちも旅人になると宣言して、村へと帰っていった。
もしかしたら数年後に旅の途中で二人と出会うこともあるだろうか。
その時が楽しみだな。
笑っている君。
泣いている君。
喜んでいる君。
怒っている君。
君と共に過ごす時間が増えるほど、まだ知らない君が僕の前に現れる。
今日の君はどんな君だろうと、いつも楽しみにしているんだ。
どんな君でも僕は君のことが大好きだし、君を深く知ることでより君の虜になっていく。
いつか君と家族になりたい。
それくらい僕は君を愛している。
夏になれば進んで入りたくなるのに、冬になれば出来るだけ入りたくない場所。
それが日陰。
日陰のことを今は考えたくないけど、夏になれば日陰を求めるんだろうな。
ああでも、冬でも日陰を求めることもあるか。
さっむい日に子どもと氷を作る時とか、ミニ雪だるまが溶けないようにする時とか。
それ以外に何かあるかな?
しばらく考えてみようかな。
今日はとても寒いから、最強の帽子かぶって出かけようかな。
耳当ての付いたあったかニット帽。これをかぶってたら耳が寒くならないの。
なんて素敵アイテム! これ考えた人天才!
そう心の中で称賛してあったかコートに袖を通す。
さあ、出かけよう。
お昼ご飯を買うために。
今日こそ告白しよう。
……そう思って五日が過ぎた。
今日こそは、今日こそはとずっと思っているのに悪いことばっかり考えてしまって中々行動できない。
『じゃあこの思いをずっと抱えて生きていくの?
ちゃんと言えば良かったって後悔したままにするの?』
そう心の中の私が問う。
私だってこのままで良いなんて思ってない。
今の私に足りないのはほんの小さな勇気だけ。
今こそそれをなんとか引き出す時。
……よし。当たって砕けろだ。
ここまで引き伸ばしてしまったからきっとすごく怒ってると思う。
でも、こんなことになったのは私が臆病だったせいだ。
……覚悟を決めよう。
「お父さん。……コップ割ってごめんなさい……」
……案の定、早く言いなさいって怒られた。
でもちゃんと告白してえらいねとも褒められた。
それでも……やっぱり早めに言うべきだよね。
怒られるってわかっていても。