小高い丘にある遺跡を歩いていたら急な雨に降られ、屋根のあるところに身を寄せる。
しばらくその場で時間を潰し、雨がやんだのを見計らって外に出ると思わず息を飲んだ。
そこには大きな虹が架かっていて、こんなにすごいのを見たのはいつぶりだろうとつい思ってしまうほどだった。
すると後ろからすごいすごい! と子どものはしゃぐ声が聞こえた。
振り返ると顔のよく似た男の子と女の子が目をキラキラと輝かせて虹を食い入るように見ていた。
双子だろうか? しかし男女とは少し珍しいな。
この辺りの村の子だろうか。
そんなにしっかり彼らを見ていたわけではなかったが、俺の視線に気づいたのか二人が同時に俺の方を向いた。
そして不思議そうに首を傾げ、二人で何かこそこそ会話した後、女の子が俺に声をかけた。
「あ、あの……旅人さん、ですか?」
「ああ。そうだよ」
「わぁ……! あの、どうして旅をしているの?」
旅の目的か……と思案する。
いろんな人と出会うのは楽しい。だがそれ以上に好きなのはやはり……
「まだ見ぬ景色を見たいから、だな」
そう言うと男の子が虹を指差して、あれもそうなの!? と興奮気味に話す。
俺が頷くと男の子も女の子も虹を見た時と同じくらい、いやそれ以上に目を輝かせ俺にあれこれ質問してきた。
そして別れ際に自分たちも旅人になると宣言して、村へと帰っていった。
もしかしたら数年後に旅の途中で二人と出会うこともあるだろうか。
その時が楽しみだな。
1/31/2025, 2:04:17 PM