バスクララ

Open App
1/20/2025, 12:38:00 PM

人生とは旅だ。といろんな人が言っている。
確かにそうかもしれない。戻ることは許されない一方通行の旅路。
お迎えが来る前にこれまでの人生を振り返った時、幸せだったと、良い旅だったと私は笑って言えるのだろうか?
そんな未来のわからないことを考えてもしょうのないことだが、そうなれば嬉しい。
そう思いを馳せて明日に向かって歩く、でもその一番先に黄泉という新たな旅路が待っている……
のかもしれない。

1/19/2025, 1:01:58 PM

君は元気があって愛くるしくて、その上困っている人のことを放っておけないお人好しでもあったね。
君のその笑顔や心根に魅了された人々が君を崇拝しだしたのは時間の問題だった。
……まさか、一国の王や王妃までもがそうなるとは思わなかったけど。
それまで信仰していたはずの神をあっさり見限り、君を唯一神だと言い出した。
民衆は大いに盛り上がった。なんたって神がすぐそこに実在したと太鼓判を押されたようなものだからね。
君はこの状況を戸惑いながらも受け入れた。……受け入れてしまった。
……あそこで否定していたら、何かはきっと変わったかな。
それとも今みたいに過激な信者が『あなたはそんなこと言わない』と君に酷いことをしたかな。
……君を受け入れない人がどうなっているのか、それは君の耳にも入っているだろう?
だからこそ、こうして暴動が起きてしまった。
……そうだね。信者たちはともかく、他国から見たら僕は英雄になるのだろう。悪神を討った者として。
君自身は悪いことしてないのにね。いや、何もしていないことが既に悪いことだったのかな?
答えはもう、誰にもわからないけどさ。
……はは、無駄話を続けるならさっさと斬れ、か……
そういうところ、思い切りがいいよね。命運が尽きる局面にいるっていうのにさ……
ああ……じゃあ……最後に言わせてよ。
僕の好きなただひとりの君へ。……愛してたよ。
……さよなら……っ!

1/18/2025, 11:50:03 AM

小さな小さな箱庭の庭を作り上げて、手のひらに乗せて眺めてみる。
枯山水に苔むした石灯籠、松の木とししおどしも配置したザ・和風の庭。
思いつくまま、思いのまま、私の好きを詰め込んだその庭は一つの空間だ。
手のひらの宇宙とまではいかないけど、それに近くはなったんじゃないかな。
さすがにその感想は自画自賛かな。手前味噌かな。
……まあでも私が創造したのだからそれくらい思ってもいいよね。

1/17/2025, 1:10:48 PM

しっかり持ってたはずなのに……
風のせいで買い物メモがどっか飛んでっちゃった……
絵に描いたような風のいたずらだ……
こういう時のためにやっぱスマホにメモっとけば良かったのかなあ……
でも、そういうのは書いておきたいし、書いてあるのを見たいんだよねえ……我ながらアナログ人間だとは思うけど。
しかし、こういう自分の不注意を何かのせいにしたがるのも人間あるあるなんだろうかねえ。
とある魔法少女ものに出てきた白いかわいい宇宙生物も似たようなこと言ってたような気がするし。
……はあ。嘆いていても仕方ないし、記憶を頼りに買い物を遂行しようかね。
お味噌とお肉とお野菜にドーナツ、それから……何だっけ。
忘れちゃった。

1/16/2025, 1:22:19 PM

その涙にどんな感情が込められているのだろうか。
彼女の目から流れる透明な涙を見て思った。
おおよそ百年前、彼女は魔女の呪いによって物言わぬ石像と化した。
生きているのかそれとも本当の石像となってしまったのか、それは呪いをかけた魔女にしかわからない。
しかし、こうして涙を流しているということは呪いが解けかかっているということだろう。
……まったく、今まで何人にこの呪いをかけただろうかねぇ。
擬似的な不老長寿を目指して開発した呪いは、人生をやり直したい人の救世主と化していた。
自分のことを知っている人がほぼいない百年後の未来へ全財産を払うだけで行けるからというのが主な理由らしい。
まあ、何人かはやり直したとしても必ずどこかでまたあたしを頼る気がしてならないから、今からでも二度目はないと噂を流しておくかねぇ……
そう思いながらあたしは石像部屋を後にした。

Next